第264話 岩の里に来ているのか?

「引っ越し、良かった?」

  「そう、土地にハマった」

「どんな感じ?」

  「岩感と言うべきか」

「違和感?」

  「いや、慕情のような」

「へー」


・・・

実は以前も、この感覚を味わった事がある。


引越し前、犬を散歩させながら、ある場所を通ると・・・


口が勝手に呟いた。


「これは主の場所?」


どうってことのない工場の裏通り・・・人気もない。


寂しい所だが、癖になって何度もそこを通るようになった。



引っ越し後に、その理由が判明した。


「飛び地か?」


その奇妙なスポットの地名が、引越してから住んでいる所と同じになってたのだ。


飛び地かどうかは調べてないが、同じ町名に足を踏み入れて波動を感じ取っていた事になる。


「それがあの感触だったのか?・・・」


今の場所で感じる慕情は更に強くなっている。



その理由に行き着いた。


「岩の神の社がある」


それは、少し離れた川の上流に位置している。


まだ訪れていないが、その波動がこの地域全体を覆っているような気がする。



「これは引き寄せだろうか?」



私は、岩の引力で、この里に来ていたのか?


先行きは、また後日に・・・


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