第253話 「実があるか?」の吟味

「組織は樹木でしょ?」

  「そう、組織員は枝」

「彼らが実を着けるわけね」

  「組織の実質は個人次第」

「そういえば実という漢字!」

  「何か?」

「日本では意味を重ねるね」

  「但し読みが違うよ」


実(み)→ 木の実

実(じつ)→ 実情


「英語での果実は?」

  「フルーツ」

「そのままか」


・・・

読みは違っても、示唆が汲めるのが日本語。

理由は簡単。


→ 日本は神の国だから


「実」が持つ意味を納得出来る言語体型になっていた。


イエス(家主)に導かれる国家の民には、言葉を通したヒントが与えられているわけだ。




 ■神は実を観る


イエスに先立ってバプテストのヨハネが出現し、こう告げた。




ルカ3章(実の無い組織は終る)

9 今の今でも、神のさばきの斧はふりかぶられ、あなたがたを根もとから切り倒そうと待ちかまえている。だから、良い実を結ばない木はすぐにも切り倒され、火に投げ込まれるのだ。」




英語の場合、「実」は・・・



【fruit】フルーツ

果樹の実


実がなる

bear fruit


実の成らない木

a tree which does not bear fruite



もちろん、「実」という漢字が使えないから福音書の洒落に繋がらない。


しかし日本なら、この表現が重ねて使える。



【実質】じっしつ

物事の内容・本質。



「果物」の「実」と

「行動」の「実」が


→ 同一表現


シンプルだが、もたらす効果は大きい。



英語で調べると・・・



実のある

substantial

(solid)


実のない討議

a futile discussion


実を結ぶ

bear fruit

come to fruition



日本語と違い、福音書の表現に実感が出ない。


以下は、「実行」すべき事。




ルカ3

10 「では、いったいどうすればいいのですか。」

11 こう尋ねる群衆に、ヨハネは答えました。「下着を二枚持っていたら、一枚は貧しい人に与えなさい。余分な食べ物があるなら、お腹をすかせている人に与えなさい。」




特に余力を持つ指導者は、

「名を捨てて実(じつ)を取れ」

と指摘されている。


しかし、当時の指導者はそれを怠った。


パリサイ人組織は、「実のない果樹」と化していた。




マタイ23 (イエスが糾弾)

2 「ユダヤ人の指導者やパリサイ人たちが、あまりにたくさんの戒めを作り上げているので、あなたがたは、彼らをまるでモーセのようだと思っているでしょう。

3 もちろん、彼らの言うことは、みな実行すべきです。言っていることは良いことなのですから。だが、やっていることだけは絶対にまねてはいけません。彼らは言うとおりに実行していないからです。

4 とうてい実行できないような命令を与えておいて、自分では、それを守ろうとしないのです。

5 彼らのやることと言ったら、人に見せびらかすことばかりです。幅広の経札を腕や額につけたり、着物のふさ(神のおきてを思い出すために着物のすそにつけるように命じられていた)を長くしたりして、あたかも聖者であるかのようにふるまいます。




※ 「着物の房」は、「神の掟を思い出すため」ユダヤ人が着物の裾に着けるリマインダー。


(日本語にある「相応しい」という言葉は、この「房」から出ているのかも知れない)




イエスは常に、民の先頭に立って当時の指導者たちと対決した。


まるで「神輿の行列」を思わせた。



その意味でも「御子イエス」は「神輿の雛形」だと考えている。


→ 神輿→ イエス



日本の神輿は各地の祭りに登場し、民の先頭を進んで行く。


まるで、腐敗した権力者と戦う御子イエスを表すように。


御子が問うのは


→ 権力組織に「実があるか?」


それを、重圧に苦しむ民に成り代わって吟味してくれるのだ。


今の時代、

その吟味はもう始まっている。


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