第76話 出版の告知

 紗良の作ってくれたカレーを食べ終わると、俺たちは二人並んで片付けをした。


「片付け手伝ってもらってすみません」

「いいんだよ。作ってもらったんだからこれくらいはね」


 そう言って、食器を一通り洗うと水を切った。


「さてと、俺は原稿直してくるわ」

「分かりました。無理しないでくださいね」

「はいよ」


 今日、言われた所を早急に直しておきたいと思い、パソコンを開いた。

すると、一件のメールが届いた居た。

朝桐さんは基本的に、仕事の連絡はメールで来る。

そこには、今日の打ち合わせで修正が必要とされた所のデータファイルが添付されていたのと、都合のいい時に電話して欲しいという内容が書かれていた。


「珍しいこともあるもんだな」


 そんなことを思いながらも、俺はスマホを取り出し、朝桐に電話をかけた。

すると、朝桐はワンコールで電話に出た。


『あ、もしもし』

「東條ですけど、電話するように書いてあったので連絡したんですが、今大丈夫でした?」

『ええ、大丈夫よ。メールじゃなくて直接伝えたいと思って』


 朝桐の声はどこか上機嫌だった。


「どうしたんですか?」

『氷室先生、表紙描いて下さるってお返事がありました』

「マジですか!?」


 俺は、驚いたのと同時に凄くうれしかった。


『マジです。それで、うちのホームページとSNSで告知を撃とうと思うのですがよろしいでしょうか?』

「もちろんです。よろしくお願いします」

『分かりました。先生もガンガン宣伝しちゃっていいですからね』

「承知しました」


 そこまで言うと、通話を終了した。

告知は明日以降になるらしい。

また、告知のタイミングで連絡するとは言っていたが。


「さて、やりますか」


 俺は、今日の打ち合わせで指摘された所の修正を始めた。

作業開始から1時間くらい経っただろうか。

終わる目処が立った。


「こんなもんかな」


 そう言うと、俺は修正した原稿を朝桐に送信した。

すると、すぐに返信があり、すぐに確認しますとのことであった。



 ♢



 翌日、目覚めると朝桐からメールが入っていた。

その内容は、今日の夕方にホームページとSNSで同時に告知をうつというものだった。

俺はそれに、了承した旨の返信をすると学校へ向かう準備を済ませた。



 ♢



 その日の夕方、俺のSNSの通知が大変なことになっていた。

どうやら、出版社の告知が入ったらしい。


『マホガク題字でお馴染み、東條零が送る甘々兄妹ラブコメ、俺は決してシスコンではない!! 発売決定にお知らせ!』


 といった内容の告知が打たれていた。

表紙はこれまたマホガクの氷室さんが務めるということで、大いに話題を集めていた。


 俺はその投降を引用する。


『初めての小説の出版です。期待して待っていて下さい』


 そんな感じに俺は自身のSNSアカウントに投降をした。


『絶対買います!』

『まさかのラブコメ!』

『ファンタジーじゃないんかい』

『楽しみにしています』


 そんな反応が俺のSNSに寄せられた。

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