第60話 合気道場
紗良と朝食を食べ、その他準備を進めていく。
「紗良ー。そろそろ行くぞ」
俺は、玄関の方から声をかけた。
「はい、今行きます」
真っ白なワンピースに身を包んだ紗良がリビングから出てきた。
「よし、じゃあ、行こうか」
家を出ると、二人は並んで歩く。
「ここから近いんですか?」
隣を歩く紗良が尋ねてきた。
「ああ、ここから歩いて行ける距離だよ」
「そうなんですね」
途中のコンビニで飲み物を買うと、そのまま道場へと向かった。
「神代先生、おはようございます」
「お、来たな」
俺は、この道場を管理している合気道の師範、神代卓に声をかけた。
「妹の紗良です。今日はよろしくお願いします」
「紗良です。その、よろしくお願いします」
紗良はペコっと頭を下げた。
「おう、よろしくな。妹ができたとは聞いていたが、こんなに可愛い娘さんとはな」
そう言って、師匠は笑っていた。
「自分の身を守れるくらいにはなりたいとおもいまして……」
紗良は遠慮がちに言った。
「おう、任せとけ。ちゃんと基礎から教えるからな。二人とも、着替えてこい」
紗良の道着はレンタルのものを使う。
紗良の着替えは、師匠の奥さんが手伝ってくれた。
ちなみに、奥さんも合気道の有段者だとか。
「さて、俺はこんなもんか」
俺は持ってきてあった自分の道着に着替えた。
更衣室から出ると、紗良も着替えが終わったようである。
「兄さん、かっこいいですね!」
「そうか? ありがとう」
そこから、二時間ほど師匠の指導を受けた。
紗良は、見様見真似といった感じだったが、最後には結構いいところまで行ったのではないだろうか。
お互いに汗をかいてしまった。
「結構、いい汗かきますね」
「ああ、楽しくない?」
「はい、意外と楽しいです」
俺たちは、汗を拭きながらそんな会話をしていた。
「春輝、今日はこのくらいで終わるぞ」
「はい、わかりました」
師匠の言葉で時計を見ると、正午過ぎを指していた。
どうりでお腹もすくわけだ。
「紗良、続けられそう?」
「はい、やってみたいかもしれません」
紗良は前向きな姿勢だった。
「おう、それじゃあ、飯食って帰るか!」
「はい!」
紗良は笑顔でうなずいた。
「じゃあ、着替えようか」
俺たちは、道着から着替えるべく、更衣室へと向かう。
「師匠、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
着替え終わった俺たちは、師匠に挨拶する。
「おう、気を付けて帰れよ。紗良ちゃんもまた来てくれたらうれしい」
「はい、是非」
そう言うと、二人は合気道場を後にしようとした。
「何食って帰る?」
「適当に何か買って帰りましょうか」
「ああ、それがいいかもしれんな」
俺たちは、途中のスーパーに寄ると、それぞれの食べたいものを買い込んだ。
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