第43話 紗良と準備

 あれから、3日ほど経過し、書道部メンバーのバーベキューの日となった。

食材や飲み物は各自の持ち込み制となった。

春輝もとりあえずの肉と飲み物、野菜は用意していた。


「兄さん、これはここでいいですか?」

「ああ、そこで構わないよ。重いもん持たせてすまんな」


 春輝は物置に眠っていた、バーベキューセットを用意していた。

炭や網、着火剤、紙皿などは、昨日のうちにホームセンターで購入して来た。


「このくらいなら、大丈夫です」

「兄さんの方は大丈夫ですか?」

「ああ、平気だよ」


 紗良には、テーブルと椅子を人数分用意してもらっていた。


「おいっすー」


 12時の少し前、莉緒が1番でやって来た。


「来たか。荷物、そこ置いたら手伝え。言い出しっぺはお前だろう」

「はーい!」


 莉緒は自分の荷物と、買ってきたであろう、食材たちをテーブルに置くと、紗良の準備を手伝っていた。


「春輝ー! こんな感じでいい?」


 莉緒が聞いてきた。


「ああ、問題無いだろ」


 その時、他のメンバーも続々と到着した。

萌と亜未は一緒に来たらしい。

そのすぐ、後に咲良も来た。


「へぇ、ここが部長の家かぁ」

「結構、大きいんですね」

「部長と紗良さんの愛の巣」


 最後、咲良が何かを言った気がするが、ここではあえて触れないでおこう。


「これで、メンツは揃ったみたいだな」


 後から来たメンツの手にも大きめなビニール袋が握られていた。


「食材はそこ置いてー!」

「「はーい」」


 持ってきた食材がテーブルの上に置かれた。


「さて、早速、火を起こしちゃいますか」


 春輝は、額にかいた汗を首にかけたタオルで服と、シャツの袖をまくった。


「おぉ、待ってました」


 春輝は慣れた手付きで、着火剤を利用し、炭に火を付けていく。


「春輝、書道だけの男じゃ無いんだなぁ」


 莉緒が何か言っている。


「俺を何だと思ってんだよ」

「え、妹書道バカ」

「何だそれは!! お前に肉食わせねぇぞ」

「ごめん春輝。それだけは勘弁ー」


 莉緒は春輝を拝んでいた。


「ほら、火つけたから網持ってこい」

「はいよー」


 網を持って莉緒が戻ってくる。


「さんきゅー」


 それを受け取った。


「やっぱ、あの二人って何だかんだで仲いいですよね」

「あ、それ分かる」


 萌と咲良が話している。


「兄さん、、、」


 その光景を見ている紗良は、どことなく寂しそうな表情を浮かべていた。


「おーい、焼いて行くぞ。肉持って来てくれ」


 春輝がそう言うと、紗良と書道メンツが肉を持って集まってきた。


「火もいい感じになって来た事だし、焼いて行っちゃうか」


 紗良は春輝に肉の入ったパックを渡した。


「はい、兄さん」

「お、ありがとうな」


 春輝は、それを受け取ると、肉を網の上に並べていった。

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