第42話 莉緒の提案
サイン会から帰ったあと、紗良と一緒にリビングでケーキを食べていた。
「サイン会はどうだったんですか?」
「ああ、結構、人きてくれたよ。100人くらいはサイン書いたかな」
「そんなに来たんですか。凄いですね」
「ありがたいことだよ」
紗良と話している時、スマホの通知音が鳴った。
スマホの画面にはグループメッセージが表示されていた。
春輝は、それをタップする。
『みんな夏休み暇ですか? 暇ならバーベキューとか行こうよ! 他の友達とか誘っていいから!』
それは、書道部のグループメッセージだった。
送ってきたのは莉緒だ。
よほど暇しているんだろう。
『いいですね! やりましょう!』
『すみません。帰省中なので』
『私も行けそう無いです』
『私は行けます!』
そう、次々と返信が来ていた。
なぜ、女の子というのはこうも返信が早いのか。
『俺も、日程によるけど構わないぞ。紗良も一緒でいいか?』
そう返信した。
『出た、シスコン』
『先輩、シスコンだったんですね』
『え、部長シスコン何ですか?』
上から順に、莉緒、咲良、萌の順で返信が来た。
ちなみに、この3人はバーベキューに参加すると言っているメンバーだ。
『シスコン言うな!』
春輝がそう、メッセージを送った。
「兄さん、どうかしたんですか?」
ずっと、スマホに目を落としていた春輝に、紗良が不思議そうにして聞いてきた。
「いや、書道部の連中がバーベキューやらないかって来ててさ」
「いいじゃないですか、バーベキュー!」
「お、紗良も来るか?」
「私もいいんですか?」
莉緒は他の友達を誘っても構わないと言っている。
同じ学校に通う妹なら、大した問題では無いだろう。
「ああ、莉緒も良いっているし」
『ちなみに、紗良ちゃんなら大歓迎だよ』
そう、莉緒から返って来ていた。
「じゃあ、私も行きたいです! 大勢でバーベキューなんて久しぶりなので」
「だな」
『バーベキューはいいとして、場所と日時はどうするんだ?』
俺はそう、メッセージを送った。
すると、すぐ既読3が付いた。
『今度の土曜日。場所は春輝の家の庭!』
まさしく、秒で返信が来た。
『何で、ウチの庭なんだ!』
『だって、その方がお金かからないし、春輝の家にバーベキューできるセットあるでしょ?』
『あるが、何故それを知っている?』
『それは、昔からの付き合いだから?』
もう、個人チャットでやれや、と言った内容を莉緒話して、結局、春輝の家の庭と決まってしまった。
「はぁ」
「どうしました? 兄さん」
「バーベキューがウチの庭に決まっちまった……」
春輝はため息混じりに言った。
「そ、そうなんですね。まあ、庭はそこそこ広いですから、大丈夫ですよ」
「問題はそこじゃ無いんだよ。ウチの場所が書道部のメンツにバレるだろ!」
「そこなんですね」
「多分、ロクな事にならんぞ」
春輝としては、そっちの方がよっぽどの問題であった。
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