第41話 春輝と小田霧のサイン会

 特設された会場に入ると、小田霧と東條零と書かれた紙が貼られていた。

春輝の方の席には、大量のポストカードが置かれていた。


「さて、いよいよだな。東條くん」

「はい、頑張りましょう」


 二人は、それぞれ席に着いた。

春輝は筆ペンと、インクのストックを鞄の中から取り出した。


「お、書道家っぽいねぇ」


 小田霧が横目にそう言った。


「間もなく、小田霧先生と東條先生のサイン会を開始しまーす。一列で並んで下さい」


 ショップ店員店員の声でサイン会が開始された。


「小田霧先生、ファンです。いつも読ませてもらっています」

「ありがとう。これからも楽しんでくれたら嬉しい」


 そう言って、書籍にサラサラとサインを入れていく。


「東條先生ですか!? 初めてお顔魔ました。以外とお若いんですね」

「初めまして。いつもありがとうございます」


 ポストカードに『書家 東條零』と書いて、ファンの方に渡す。


「ありがとうございます。大切にします」

「これからも、マホガク楽しんで下さいね」


 そう言って、次々サインをしてい行く。

大体、100人以上にほど書いたのだろうか。

ようやく、終わりが見えてきた。


「いつもありがとうございます」


 最後の一人にサインを書き終えると、ようやく一息ついた。


「終わりましたね」

「ああ、沢山の人に来てもらったな。お疲れ様」

「お疲れ様でした」


 関係者控え室に戻ると、もらった弁当とお茶を飲んでいた。


「東條くんも人気だったじゃないか」

「小田霧先生あってこそですよ」

「いやいや、これも東條くんの実力だよ」


 そう言って、小田霧は笑った。


「先生方、お疲れ様でした。今日はこれで大丈夫」


 笹井がそう言って、控え室に入ってきた。


「では、僕はこれで失礼します」

「おう、お疲れさん」


 春輝は、鞄を持つと控え室を後にした。

帰りも行きと同様、電車に揺られていた。

電車の中でスマホを開き、SNSアプリを立ち上げた。


『今日はサイン会ありがとうございました! 初めての経験でしたが、直にファンの方と交流出来て、楽しかったです。今後ともよろしくお願いいたします。』


 そう、SNSに投降した。

すると、すぐに反応が来た。


『お疲れ様でした』

『生の東條先生みたかった!!』

『想像より、若かったです』


 などと、送られてきた。


「あとで、返信しよう」


 そう思い、春輝は最寄り駅で降りた。


「あ、紗良に何か買って行くか」


 春輝は近くのケーキ屋でケーキを何個か買うと、家に向かった。


「ただいまー」

「おかえりなさい!!」


 紗良がリビングから顔を出した。


「ケーキ買ってきたよ」

「え、ありがとうございます」

「一緒に食べよっか」


 春輝は手を洗うと、紗良と一緒に買ってきたケーキを食べるのであった。

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