第44話 バーベキュー!
春輝は、肉を着々と焼いて行く。
「ほら、焼けたぞー。お皿持ってこーい」
春輝が言った。
「はい、さら持って来たよ」
莉緒がふざけて紗良を連れてきた。
「それは皿さじゃねぇ。俺の妹の紗良だ。ふざけてんなら、永遠にピーマンの刑にしてやるぞ」
「全く、春輝は意地悪だな」
「お前ほどじゃねぇよ」
春輝は咲良たち1年生から、肉を紙皿の上に置いていく。
「早く早くぅ」
「黙って待っとけよ。食欲旺盛かよ」
「育ち盛りなんで」
莉緒は胸を張った。
「はいはい。その絶壁も育つといいな!」
「変態……!」
莉緒は顔を赤くしていた。
「肉、要らないのか?」
「いる!!」
「単純なヤツめ」
その後も春輝はどんどん肉と野菜を焼いて行く。
「兄さん、食べてますか?」
「ああ、焼くのに夢中になってたわ」
春輝は苦笑いした。
「もう、そんな事だろうと思いました! 口、開けて下さい」
「おう」
紗良の言う通り、口を開けた。
「はい、あーん」
紗良が口に肉を入れてくれた。
「うん、美味いな」
「はい、兄さんが焼いたのは美味しいですから、兄さんもちゃんと食べて下さいね」
「はいよ。ありがとうな」
2人の間には、甘い空気が広がっていた。
「さすが、兄妹だわ」
「あの2人の間には入れませんね」
「てか、あれって兄妹のやる事なの?」
「兄妹ってよりは、カップル?」
他のメンツがジト目で見てきていた。
「ほら、肉焼けて来てるぞー」
「「「はーい」」」
紙皿に肉と野菜をポンポンと置いて行く。
「飲み物も好きなの飲めよー。にしても、暑いな」
春輝は汗を拭った。
「ああしていると、まるで、休日に家族サービスするお父さんよね」
莉緒が笑いながら言った。
「確かに」
それに、咲良も同意していた。
「紗良、悪いがお茶取ってくれ」
「麦茶でいいですか?」
「ああ、構わないよ」
紗良はコップに麦茶を注ぐと、渡してくれた。
「ありがとう。助かる」
「ここ、特に暑いですもんね」
「そうなんだよ。火に当たってるからな」
そこから、小1時間ほど経過しただろうか。
ようやく、落ち着いて来た。
「ふぅ、ようやく落ち着いたな」
春輝は椅子に座ると、お茶をのんだ。
「ああ、お腹いっぱいだわ」
「そうですね」
「私もです」
書道部メンツは満腹になっているようだ。
「春輝もお疲れ。焼いてくれてありがとう」
莉緒が言った。
「お礼言えるようになったか。成長したな」
「私を何歳だと思ってんのよ!!」
「悪い悪い。焼くのも楽しかったから、別にいいよ」
そうして、お茶を飲み干した。
「こうして、皆んなでワイワイやるのも楽しいもんだな」
「そうね、たまにはいいわね」
春輝は何となく空を見上げていた。
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