第37話 回転寿司

 紗良は、タッチパネルで、お寿司を注文していった。


「はい、私の注文は一通り、終わりましたよ」

「おう、じゃあ、俺も注文しちゃうか」


 春輝もタッチパネルを操作し、注文していく。


「俺も終わったぞ」

「はい!」

「お寿司も好きなんだな」

「エスパーですか!?」


 紗良は、ハッと、自分の顔を隠した。


「顔見りゃ分かる。幸せそうだ」

「そりゃあ、お寿司も好きですよ……でも、兄さんと食べるからいいんです!!」

「それは、嬉しいね」

「美味しものを、好きな人と食べるのは幸せじゃないですか」


 顔を少し、赤くさせながら言った。


「可愛いいかよ」


 思わず、心の声が漏れた。


「へっ!」


 その時、注文した寿司がレーンに届いた。


「ほら、届いたぞ」

「はい、ありがとうございます」


 春輝も手伝いながら、テーブルの上に並べていく。


「サーモンばっかじゃん」

「えへへ、サーモン好きなんですぅ」


 紗良は、照れながら言った。


「まあ、俺も人のことは言えないがな」

「ですよねー」


 春輝の方のテーブルには、マグロが沢山並んでいた。


「マグロ好きなんだもん」

「私たち、こういう所、似てますよね」

「だな。さ、食べようぜ」


 そう言って、春輝は箸渡した。


「「いただきます」」


 寿司に醤油を垂らし、口に運んでいく。


「美味しですね」

「回転寿司も捨てたもんじゃ無いからな」


 最近の回転寿司のクオリティは上がってきているように感じる。


「そうですよね。回転寿司も十分美味しいです」

「たまにはいいよな」


 そう言って、お寿司を食べ進める。

しばらくして、テーブルの上に乗っていたお寿司は片付いていた。


「お腹いっぱいです」

「デザートは?」

「食べます!!」


 紗良が食い気味に言った。


「デザートは食べられるのね」

「甘いものは別腹ですからねー」

「そうだったな」


 紗良は、タッチパネルを操作し、ガトーショコラを、春輝はチーズケーキを注文した。

しばらくして、注文したデザートが流れてきた。


「デザートも中々美味しいです」

「うん、そうだな」


 二人は、デザートも食べ進めた。


「さて、お腹いっぱいだな」

「はいー」


 デザートを食べ終わった所で時間を確認する。


「お、もう12時半過ぎだ。そろそろ行くか?」

「ですね」

「じゃあ、お会計してくる」


 春輝は、伝票を持ってレジへと向かった。

払い終わると、外で待っている紗良の元に向かった。


「すみません。いつも払ってもらっちゃってて」

「あ、そうそう。それなんだけど、昨日親父から、二人の生活費として15万振り込まれたから、気にしなくて大丈夫だよ」

「そうなんですね」


 昨日、急に親父から電話がかかって来たと思ったらそのことだった。

食費や光熱費に使ってくれとのことだった。


「食費はそこから出そうと思うよ。遊びに行く時はまあ、俺もそれなりに稼いでいるし」

「ありがとうございます」

「じゃあ、映画行こうか」


 そう言って、二人は映画館へと向かうのであった。

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