第26話 試験日当日
あれから、1週間、春輝と紗良は、試験勉強会を続けていた。
その甲斐あってか、だいぶ、自信を持って試験に臨むことができそうだ
「いよいよ、試験だな」
「はい、いつもより、自信あります!」
「俺もだ」
いつも通りの時間に、二人は並んで登校していた。
テスト当日だからということもあるのか、他の生徒の足取りは、どこか重たく感じた。
その一方で、春輝たちの足取りは軽い。
「いつも、暗記科目には苦労するのですが、兄さんのやり方が、参考になりました」
「それは、良かった」
そんなことを話しながら、教室へと向かう。
教室に入ると、お互い、自分の席の方へと向かう。
「相変わらず、お熱いねぇ。お二人さん」
和也が茶化して来た。
「そんなんじゃないわ。お前も、勉強しなくていいのか?」
「おいおい、春輝君、俺の成績を知らないのか?」
「確か、下から数えた方が早かった気がするが」
「ったく、冗談通じねぇな」
「勉強しとけー」
春輝がそう言うと、和也は前の席に座り、教科書を開いた。
「さて、俺も復習しとくか」
昨日まとめたノートを取り出した。
「うわ、几帳面キモ」
莉緒が春輝のノートを覗き込んできた。
「莉緒か。朝から散々な言われよう何だが」
「あんた、よくやるわねぇ。無駄に字は綺麗だし」
「人の努力を無駄とか言うんじゃありません」
莉緒も、いつも通りの元気を取り戻したようで、春輝は安心した。
「莉緒も復習し解かなくて大丈夫なのか?」
「私は大丈夫よ」
莉緒は胸を張った。
「ああ、そうだったな。莉緒は頭いいもんな」
「そうよ!」
「そんなに、堂々と言うなよ。俺は復習するぞ」
そう言うと、春輝はノートに目を落とした。
「頑張ってねー」
「莉緒もな」
莉緒も、自分の席に戻って行った。
今日の予定は、
国語
数学
英語
世界史
科学
となってる。
朝のホームルームが終わり、いよいよ試験が開始される。
「お、これは、いけるかもしれないんな」」
最初の国語の時点で手応えは確かなものになった。
そこからも、5時間、スムーズに問題を解いていくことが出来た気がする。
「終わったぁぁ」
これで、大変だった試験期間からもおさらばできるという訳だ。
「兄さん、どうでした?」
「ああ、ばっちりだ」
「私もです。いつもより出来がいい気がします」
「おう、それは良かった。帰るか」
「はい!」
紗良が、笑顔で頷いた。
学校を出ると、二人並んで、帰路に就く。
「これで、長期休みに入るな」
「そうですよね」
「紗良は、予定とかあるのか?」
「予定ですか……特に決まってはいませんね。兄さんは?」
「俺は、題字を仕上げないとな」
アニメ化が三か月先へと迫ってきたので、色々とやることは増えていくと予想される。
「大変そうですね」
「まあ、こればっかりは仕事だからな」
そんなことを話しているうちに、家に着いた。
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