第27話 春輝は有名人?
家に帰ると、春輝は、メールの確認をしていた。
『魔法学院の最強賢者』の担当編集者から、一件のメールが入っていた。
「打ち合わせの日程決まったのか」
メールの内容には、打ち合わの日時が決まったので出版社まで来て欲しいというものであった。
「ほう、今度の土曜日か。それまでに何パターンか作らないとな」
そう言って、春輝は筆を取った。
紙を引き出しから何枚かだし、縦書き、横書き、書体、空間の取り方、改行の仕方なので、変化を付け、4パターンほど作った。
「これで、いいかな」
春輝は、買い終わると、乾いたことを確認し、ファイルに仕舞った。
「洗ってこよ」
筆を洗うために、春輝は部屋を出た。
「兄さん、お仕事ですか? 晩ご飯出来ていますよ」
「おお、今日は紗良の手作りなのか」
「はい、簡単なものですが」
リビングの机の上には、二人分のパスタが並んでいた。
「ちょっと、これだけ洗ってくるな」
「わかりましたー」
キッチンのシンクで、筆を洗う。
水を切って、テーブルに置いた。
「さて、頂くとしましょう」
「はい」
春輝は、キッチンからリビングの方に移動する。
「「いただきます」」
二人は手を合わせた。
フォークを使い、麺を巻いて、口に運ぶ。
「うん、美味しいよ。紗良も料理出来るんじゃん」
「これだけは、練習していたので。ありがとうございます」
紗良も、パスタを口に運んでいく。
「兄さんは、お仕事忙しいんですか?」
「ああ、今度の土曜に打ち合わせが入ってな」
「じゃあ、出版社に行くんですか?」
「ああ、そうなるな」
机を挟んで、対面に座る紗良と話しながら、食事を進めていく。
「すごいですね。私も行ってみたいです」
「そんな楽しいもんじゃないぞ。まあ、ポスターとかパネルとか、置いてあったりするけど」
「へぇ、そうなんですね」
「じゃあ、今度見学できるか聞いておくよ」
「本当ですか!?」
紗良の表情が、パッと明るくなった。
まさしく、太陽のように。
「うん、多分、俺の妹なら、多分大丈夫だろ?」
「そうなんですか?」
「まあ、一応、関係者だし?」
「兄さん有名ですもんねぇ」
「何で知ってるの?」
「SNSのアカウントを見ました」
「えぇ!?」
驚いて、思わず大きな声を出してしまった。
「だって、このアニメの公式ページに、小田霧先生と兄さんのアカウントが載っていますよ」
ご飯を食べ終えた紗良が、スマホの画面を春輝に見せた。
「だから、最近、フォロワーが増えたのか」
「まさか、兄さんのアカウントに5万人もフォロワーが居るとは思いませんでしたけどね」
「ああ、俺もびっくりだ」
春輝は、たまに自分の作品を載せるくらいにしか、アカウントは動かしていなかった。
アニメ化が決まって、フォロワーが一気に3000人近く増えたのであった。
「俺も何か呟いておかなきゃな」
『魔法学院の最強賢者のアニメ化が決まりました。これも、読んでくださっている皆様のおかげです。アニメでも題字を担当しているので、そこも楽しみの一つとして見て頂けたら嬉しいです』
そして、春輝は投降ボタンを押した。
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