第20話 生徒会長

 俺は忙しくなる事を覚悟して、テレビを眺めていた。


「お、風呂上がったのか」

「はい、お先に頂きました」

「じゃあ、俺も入ってこよっかな」


 そう言うと、俺は立ち上がった。


 風呂で体を洗い、湯船に浸かる。

数十分で春輝は風呂場を出た。


 風呂をでても、紗良はまだリビングのソファーに座っていた。


「俺、もう寝るけど」」

「もうですか? 今日は早いんですね」

「ああ、忙しくなったら寝れなくなるし、寝れる時に寝とかないとな。明日学校だし」

 

 仕事が立て込むと、寝る時間を削るしか無くなるのだ。

余裕を持ってやるべきなのは、分かっているが、思い通りにはいかないもんだ。


「そうですね。おやすみなさい」

「ああ、おやすみ。紗良も夜更かしは良くないぞ」

「はい、ありがとうございます」


 事実に入り、ベッドに横になる。

日課のスマホで、ネットサーフィンしばらくすると、メッセージアプリを立ち上げた。


「一応、送っておかないとな」


 『魔法学院の最強賢者』の原作者である、小田霧さんに、『アニメ化おめでとうございます!』と送って置いた。


「さて、寝よう」


 メッセージも送り終わり、ネットサーフィンも終わったので、俺はスマホを置いて、布団をかぶった。

目を閉じると、やがて意識を手放した。


***


「朝か……」


 スマホのアラームで、俺は目を覚ました。


「さてと、」


 いつも通りに顔を洗い、朝ごはんを作ると、紗良を起こす。

二人でご飯をたべ、登校する。

いつもと変わらぬ光景だ。


「今日も頑張るかぁ」

「ですね」


 二人で教室に入る。

つまらない授業を6時間受け、放課後となった。


「今日も部活ですか?」

「そうなんだよ。悪いな」

「いえ、頑張って下さいね。先に帰ってます!」


 紗良は笑顔を浮かべていた。

本当に可愛い。


「おう、ありがとうな」


 階段を上り、書道室へと向かう途中、顧問の河合に呼び止められた。


「東條、悪いが、生徒会室へ行ってくれ」

「は、はい。例の生徒会誌の件ですか?」

「ああ、そうだ。生徒会長が直接話をしたいと言っていてな」

「分かりました」


 俺は、登った階段を今度は降り、一階の生徒会室へと向かった。

生徒会室の前まで行き、扉をノックする。


「どうぞ」


 女性の声が聞こえて来た。


「失礼します」


 恐る恐る扉を開ける。

そこには、見慣れた生徒会長の姿があった。


「貴方が、東條春輝くんね!」

「は、はい」

「知ってると思うけど、私が生徒会長の姫宮舞香です」


 長い黒髪をポニーテールにし、どちらかというと、体育会系の美人だ。


「ど、どうも」


 というか、近い。

顔が、俺の10センチほどしか離れていない所にある。


「まぁ、座って」

「ありがとうございます」


 促されるまま、俺はパイプ椅子に腰を下ろした。


「今日呼んだのは、河合先生から聞いてると思うけど、生徒会誌の題字をお願いしたいの!」


 そう言って、舞香は去年の生徒会誌を掲げた。

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