第16話 買い物前のご飯

 電車に一駅揺られ、目的の駅に到着した。

日曜日、ということもあり、それなりに混んでいた。


「人多いな」

「まあ、日曜日ですから、仕方ないですね」

「だな」


 交通ICカードで改札を抜けると、ショッピングモールへと向かう。

ここからなら、徒歩3分といったところであろう。


「よし、着いたぞ。まずは、どこに行くんだ?」

「ご飯です!!」

「へっ?」

「お昼ご飯の時間ですし、朝ごはんもろくに食べずに出てきてしまいましたからね」

「そういえばそうだったな」


 朝ごはんは飲み物だけ、気休め程度に飲んだだけだった。

普通にお腹は空いていた。


「買い物はそれからです!」

「分かった。じゃあ、飯行こうか」

「はい!」


 二人は、ショッピングモールのフードコートへと向かった。


「何か、食べたい物はあるか?」


 フードコートには、様々な飲食店が入っている。


「そうですね。和食系が食べたいかもです」

「和食か。うどんとかどうだ?」

「いいですね。うどんにしましょう」


 二人は、京うどんのお店に入った。

お昼時、ということもあり、少し待つことにはなったが、割と早く通された。


「紗良は何にする?」


 二人掛けのテーブル席の対面に座る紗良に、メニューを渡した。


「私は、きつねうどんにします」

「お、なら、俺もそうしよう」


 注文するものが決まった時、店員さんがお冷とおしぼりを持ってきてくれた。


「ご注文お決まりですか?」

「はい、きつねうどんを2つお願いします」

「かしこまりました。きつねうどんをお2つですね」

「はい」

「少々お待ちください」


 注文を取った店員さんは戻って行った。


 それから、待つこと数分、注文したきつねうどんが運ばれてきた。


「お待たせいたしました。きつねうどんになります」


 二人の前に、きつねうどんが置かれた。


「ごゆっくりどうぞ」

「はい、ありがとうございます」


 二人は手を合わせる。


「「いただきます」」


 出汁の効いた、うどんを二人は啜る。


「初めて来たけど、美味いな」

「本当ですね。私も、ここのおうどんは初めて食べました」


 数十分ご、二人はうどんを綺麗に平らげていた。


「「ごちそうさまでした」」


 再び手を合わせた。


「じゃあ、お会計してくるか」


 食後のお茶を飲み干した、俺が言った。


「今日は割り勘で!」

「いいよ、俺、これで稼いでいるから」


 春輝は、ニッヤっと笑った。


「もう、いじわるです」

「紗良も女の子なんだから、黙って財布仕舞って待っとけ」


 半ば、強引に伝票争奪線に勝つと、俺はお会計を済ませてきた。


「じゃあ、服見に行くか」

「ごちそうさまでした」

「いや、気にしなくていいよ。稼いでる方が出せばいいんだから」

「ありがとう、ございます」

「よし、じゃあ、今日のお目当ての服見に行くか」

「はい!」


 二人は、フードコートのある4階から、洋服ブランドのお店が入っている、2階へと向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る