第17話 似合ってますか?
二人は、4階から2階へと来ていた。
「まずは、どこに行くんだ?」
「私の好きなブランドがあるので、まずはそこに行きます」
「おう、そうなのか」
紗良に連れられ、好きだというブランドのお店に入った。
「これ、可愛い……こっちも!」
紗良は、女の子らしく、テンションが上がっていた。
「ご試着も出来ますので、よろしければ仰ってくださいね」
そう、店員さんが言ってくれた。
「試着してきてもいいですか?」
「もちろん」
紗良は、気に入ったと思わる服を、3着ほど持って、試着室へと入って行った。
紗良の試着を待っている間、店員さんが話しかけてきた。
「可愛らしい彼女さんですね。仲良さそうで羨ましいです」
「あ、妹です……」
「え、妹さんなんですか!? お似合いだったので、てっきり彼女さんかと」
「ははは、ありがとうございます」
そんなこと話しているうちに、紗良の試着が終わったようであった。
「おまたせ、しました」
そう言うと、試着室のカーテンが開いた。
「どう、ですか?」
紗良は、黒とピンクを基調とした、ワンピースを試着していた。
「似合ってますか?」
「お、おう、似合ってるぞ」
その姿に、思わず、見とれてしまっていた。
「ふふ、ありがとうございます」
「他のも試着するのか?」
「はい!」
その他にも、グレーのワンピースと、紺のブラウスを試着した。
どれも、似合っていて、凄く可愛い。
「さすが紗良だ。可愛いから、どれも似合い過ぎているよ」
「可愛い……」
紗良は、頬を真紅に染めていた。
「じゃ、じゃあ、全部買います!」
「おう、いいと思うぞ」
紗良は、再び、試着室の方へ引っ込んでいった。
「あの、すみません」
俺は、さっきの店員さんに声を掛けた。
「はい、どうかされましたか?」
「紗良が試着した、服の料金を先に払いたいんですけど」
「かしこまりました。こちらへどうぞ。いいお兄さんですね」
「いえ、可愛くて仕方なくて」
「やっぱり、うらやましいですよ」
レジへと案内され、料金が表示された。
俺は、女物の服なんて、買ったことなかったので、知らなかったが、割といい値段をするらしい。
「はい、ちょうどお預かりします。レシートのお返しです」
「ありがとうございます」
俺のお会計が終わった頃、紗良が試着室から出てきた。
「これ、お願いします」
紗良は、試着した服を店員さんに渡した。
「かしこまりました」
店員さんは、綺麗に畳み直すと、袋に入れてくれた。
「お待たせいたしました。こちらになります」
そう言って、紗良に袋を手渡した。
「あの、お会計は?」
「先ほど、お兄さんから頂きましたよ」
「え!?」
紗良は、驚いた表情をした。
「すみません。また、払って貰ってしまって」
「俺が勝手にしたことだから。それに、お金じゃ買えないようなものを見せてもらったから」
「はい?」
紗良は不思議そうに首をかしげていたが、美少女の試着イベントに出会えたのだから、俺は満足していたのであった。
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