第15話 兄妹デート
翌朝、いつも通りの時間に俺は目を覚ました。
リビングへと向かうと、紗良は既に起きていた。
「おはよう。今日は早いんだな」
「あ、おはよう兄さん。楽しみだったから、早く目が覚めちゃったみたいです」
そう言って、紗良は、満面の笑みを浮かべていた。
「可愛いかよ」
思わず、心の声が出てしまった。
「へっ?」
紗良が、顔を赤くしていた。
「あ、俺、顔洗ってくるわ」
「は、はい」
口に出してしまった事が、なんだか恥ずかしくなり、そそくさと洗面所に向かった。
顔を洗い、歯を磨く。
そして、意外と大事なのは、髭を剃ることだ。
あまり、濃い方ではないが、髭も剃らずに出かけるのは身だしなみ的にどうなのかと思うのだ。
「紗良は、準備とかいいのか?」
「はい、私はあと、メイクをして、鞄を持ったら出かけられるので」
「そうか、待たせて悪いな」
「いえ、ゆっくり準備してもらって大丈夫ですよ」
紗良は、白のブラウスに薄いピンク色の、ロングスカートを履いていた。
今日は、ナチュラルだが、メイクもするようだ。
『それ以上可愛くなったら、お兄ちゃんは心配だよ……』
心の中でそう、呟くと、俺も着替える為に、自分の部屋に戻った。
「今日はこれにするか。せっかくの紗良と出かけるんだから、気合いれるか」
俺は、白のブイネックシャツに、黒のジャケット、黒のスキニーパンツに着替えた。
再び、リビングへと向かうと、紗良のメイクが終わったようだった。
「兄さん、凄くカッコイイです」
「そうか? ありがとう。髪の毛、セットしてくるよ」
洗面所の鏡で、手にワックスを付け、自分で髪をセットする。
「よし、こんなもんかな」
手に残っていたワックスを洗い流すと、スプレーで固めた。
「紗良、準備出来たぞ」
スマホと財布をポケットに入れ、俺は準備を終えた。
「私も、終わりました」
白い、小さな鞄を斜めにかけ、紗良も準備を終えたようであった。
「さて、じゃあ、出かけるか」
「はい」
午前の10時過ぎくらいに、俺たちは家を出た。
玄関の鍵を閉め、駅へと向かう。
今日は、隣駅の大型ショッピングセンター行く予定だ。
「晴れているけど、だいぶ涼しくなったな」
「そうですね。過ごしやすくなりました」
話しながら、駅へと向かう。
駅に到着すると、交通ICカードで改札を抜けると、電車が来るのを待った。
「何か、俺、見られてる?」
高校生と思われる女子たちの視線を感じた。
「ねぇ、あの人、カッコ良くない?」
「それ、思った。でも、隣にいるの、ぜったい彼女さんだよ」
「だよねぇ。彼女さんの方もめちゃくちゃ可愛い」
春輝も、身だしなみを整え、髪をセットすれば、そこそこ、というか、普通にイケメンなのだ。
「モテていいですね」
紗良が拗ねた。
その拗ねた顔もとても可愛い。
「俺は紗良しか見てないよ」
「へっ」
紗良は、自分の頬に手を当て、顔を赤くしていた。
この発言は、我ながら盛大なシスコン発言だと、後々思うのであった。
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