第7話 妹と晩ご飯

 俺たちは、駅前に向かって歩いている。

家から駅前までは、歩いて10分ちょっとである。


「紗良は、何か食べたいものがあるか?」


 隣を歩く紗良に尋ねた。


「そうですね……何でしょうかね……お肉とか食べたいかもです」

「肉か。なら、焼肉とかどうだ? 確か、駅前にあったはずだし」

「いいんですか!?」


 紗良は目を輝かせていた。


「うん、せっかくだし。紗良の親睦会って言うのかな? そういうのも兼ねて、紗良とは親睦を深めたいからね」

「では、お言葉に甘えて、焼肉でお願いします」

「おうよ」


 駅前に到着すると、親父とたまに行っていた焼肉のチェーン店の前に来ていた。


「ここで、いいか?」

「はい、大丈夫です!!」


 店舗は二階となっている為、二人は、階段を上がり、店舗の中に入る。


「「「いらっしゃいませー!!」」」


 店員さんが、気持ちよい挨拶で迎えてくれる。


「二人なんですけど、行けますか?」

「はい、大丈夫ですよ。ご案内します」


 女性の店員さんが、二人を席まで案内してくれる。


「こちらの席をお使い下さい」


 二人は、四人掛けの席に案内された。


「はい、ありがとうございます。紗良、奥どうぞ」

「あ、ありがとうございます」


 奥の席を紗良に譲ると、春輝も手前の席に腰を降ろした。


「こちら、おしぼりになります」


 店員さんが、二人におしぼりを手渡してくれる。


「本日、単品と食べ放題はどちらになさいますか?」

「紗良、どっちがいい?」

「じゃあ、食べ放題で」

「コースは俺が決めていいのか?」


 紗良はコクコクと頷いた。

どうやら、紗良は店員さんと話すのが、あまり得意ではないらしい。


「じゃあ、この、スタンダードコースの食べ放題で、お願いします」

「かしこまりました。スタンダード食べ放題がお二人ですね。こちら、お時間が90分となりまして、ラストオーダーが30分前になります」

「はい、分かりました」

「ご注文は、タブレットの方からお願いします。では、ごゆっくりどうぞ」


 最近は、タブレットで注文する所が増えてきた。

これは、凄く便利なシステムだと思う。


「好きなの頼んでいいぞ」


 そう言って、紗良にタブレット端末を渡した。


「うん、ありがとう」


 紗良は、タブレットを操作し、注文を決めていく。


「お肉は、とりあえず適当に頼んでいい?」

「おう、任せるぞ」

「分かった。二人前にするね」

「ありがとう。助かる」


 紗良は、カルビやハラミ、ホルモンといった定番所を注文していく。


「兄さん、飲み物何がいい?」

「じゃあ、コーラで」

「うん、わかった。じゃあ、私もコーラにする」


 そう言って、紗良は一通りの注文をすると、タブレットを置いた。


「任せてすまんな」

「んーん、平気。私が食べたいって言ったし、これは店員さんと話さなくてもいいから楽だよ」

「そうだな、ありがとう」


 二人は、注文したものが届くのを待った。

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