初詣

 早朝。


 ミサキ、ヒトミ、カナデの3人は早めに起床して身支度を整える。

 

 玄関に出ると、門の前に、ヒカル達、男子校の面子がいた。

 アツシ、リュウジ、タカヒロだ。

 男子校の4人は、ヒカルの家で、年越しをしたらしい。


 リュウジ、タカヒロ、コウイチは、途中で別れて、マキ達Cクラスの女子と合流する予定らしかったが、マキ達Cクラスの女子から、ミサキ達Bクラスの女子と合流しようと提案されたそうだ。


 マキとミホがカナデの家に近づいてくるのが見えた。


 皆は新年の挨拶を済ます。

 カナデの母親が、全員に甘酒を振る舞ってくれた。


 その場でお喋りしながら、甘酒を楽しむ。


 皆は、カナデの母親にお礼を言って、神社へ出発した。



 男子チームが恥ずかしがっている間に、

 寒かったこともあり、ミサキとヒトミがカナデの両腕にしがみついた。

 連鎖するようにマキとミホが腕を組む。


 カナデが言う。

「いいの? 彼氏を放っておいて」


 ヒトミが言う。

「カナデがあったかいから、つい……。

 帰りはアツシくんと腕を組んで帰る」

 

 初詣を済ませ、受験生は合格祈願の絵馬をかける。


 帰り道は、男女ペアで腕を組んだ。

 しかし何故かカナデはヒトミに捕まり、彼氏の反対側の腕を組まされる。


「ヒトミは寒がりだね」


「うん。寒いの苦手。カナデがいて助かる」


「アツシくん、ヒトミが寒いって、

 もっと寄り添ってあげなよ」


「え? あ、うん」

 アツシが恥ずかしそうに、ヒトミに密着する。

 ヒトミが言う。

「アツシくんありがと、あったかい、これで凌げる」


 アツシが照れながら言う。

「あはは、ならよかった」


 後ろのミサキが言う。

「カナデは今年もナイスアシストだね」


 ヒカルが言う。

「カナちゃんは天然なところあるからね」


 カナデが言う。

「天然イケメンのヒカルくんほどじゃないよ」


「あはは、僕、そんなに天然?」


 ヒトミが言う。

「うん。ミサキから聞いてる限りでは、

 素晴らしい天然イケメンだとおもうよ。

 ほんと、話聞いて驚くことばかりだから」


 ミホが言う。

「だねー、今みててもそう思う。

 さりげなく車道側歩いてるとかね……。

 そこまでしなくてもいいのに、

 ほんと細かいところまで当たり前のように気が回るよね」


 男性陣が急に位置を変える。


 ヒトミが言う。

「カナデ、反対側寒いから離れないで」


「……わかったよ」


 マキが言う。

「あはは、みんなそんなに気を使わないで大丈夫だよ。

 ヒカルくんが天然すぎるだけだから」


 リュウジが言う。

「でも、言われてみると気になるじゃん。

 ヒカルすごいなと最近よく思う。

 いろいろと見習うつもり」


 マキが言う。

「でも、トモ先輩みたいな、

 遥かに上をいくイケメン女子もいるくらいだから

 上を見たらキリがないよ」


 リュウジが言う。

「いあ、あの人は別格でしょ?

 性別超越してる感じだしね」


 タカヒロが言う。

「カナデに男っ気ないのって、

 トモ先輩と仲が良すぎるからでしょ?」


 リュウジが言う。

「そういえばそうだよね。

 あの人のそばにいたら、そうなるか」


 マキが言う。

「文化祭に来てくれたけど、

 カナデとずっと一緒だったしね」


 ミホが言う。

「うん。

 カナデが、みんなの嫉妬を一身に受けてたよね」


 リュウジが言う。

「女子大行ったらさらにそんな感じになるのか。

 大変そうだ」


 カナデが言う。

「昔からその手の視線にはなれてるから大丈夫」


 リュウジが言う。

「カナデも大概だよな。

 昔からそうだよね。

 性別変わっても全然変わってないのね」


「まあ、私の長所みたいなものだからね。

 ヒカルくんの天然イケメンは、

 小さい頃からトモちゃんみて育ったからだね、多分」


 マキが言う。

「あ、そっか、ヒカルくんも幼なじみだったね。

 すごい納得した」


 ミホが言う。

「私も納得。確かに似た雰囲気があるね。

 イケメンの英才教育って感じか。

 ミサキ、誰かに取られないように気をつけなよ」


 ミサキが言う。

「わかってる」



 帰宅方向が違うので、マキ、ミホ、リュウジ、タカヒロが離脱する、


 カナデの家まで来ると、待ち構えたように、母親が皆を家に招き入れ、カナデの部屋で、お雑煮を振る舞った。


 カナデの母親が言う。

「みんな合格するといいね。

 大学に行ってもカナデと仲良くしてあげてね」


 ヒトミが言う。

「もちろんですよ。もうみんなマブ達ですから」


「ありがとね」


 母親が、カナデの部屋から出てゆく。


 ヒトミがスマホを操作しながら言う。

「ねぇ、カナデ、うちのデスクトップパソコンてこれなんだけど、これであのゲームできるの?」

 

 ヒトミがスマホをカナデに見せる。


「……すごいね。十分すぎる」


「叔父さんがくれたの。

 今は私が使ってるけど、こんな大きいのもってゆけないから、ノートパソコン買ってもらう感じなの。

 てか、これで余裕なのか、よかった。

 帰ったら早速、やってみよ。

 私もミサキみたいにコーデがんばって無課金勢になろ。

 ノートパソコン買うときは頼んだよ?」


「わかってる」



 

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