告白

 翌日のお昼休み、カナデとミサキとヒトミの3人は、中庭のベンチに座りお弁当を食べていた。


 ミサキが言う。

「カナデ、昨日はありがとね。

 楽しかった」


 ヒトミが言う。

「ありがと、私も楽しかった」


 カナデが言う。

「結果はどうだったの?

 私、邪魔しなかった?」


 ミサキが言う。

「邪魔どころかナイスアシストだよ。

 全員と話せたしね」


「気が合う人は見つかった?」


「タカヒロくんよかったけど、卒業したら遠距離になるんだよね。

 やっぱりヒカルくんかな……」


 ヒトミが言う。

「私はリュウジくんかな。

 一番話があった。

 志望大学も近いところにあるからね。

 合格すればだけど……。

 カナデ、グループデートどうするか聞いてる?」


「向こうが先約だから開催するって言ってたよ。

 アツシくんは参加してなかったしね」


 ヒトミが言う。

「そうなるか」

 

 ミサキが言う。

「リュウジくんにメッセージとか送ってみた?」


「うん。お礼した。

 また遊ぼうって返された」


 ミサキが言う。

「リュウジくん時間ありそうだしね」


 ヒトミが言う。

「Cクラスの参加者てみんな受験生?

 推薦の子いる?」


 ミサキが言う。

「いなかったはず」


 ヒトミが言う。

「なら大丈夫か、こまめにメッセージ交換してみようかな」


 ミサキが言う。

「勉強教えてもらったら?」


 ヒトミが言う。

「それ良いかも、お願いしてみる」


 ミサキが言う。

「ねぇ、カナデ。私、ヒカルくんに脈あるかな?」


「それ私に聞く? わかる訳ないじゃん。

 本気で付き合いたいなら、直接交渉してあげるけど?

 それだけの勇気ある?」


 ヒトミが言う。

「……たよりになりすぎて怖いわ」


 ミサキが言う。

「実際に付き合ってみないとわからないことがあるから、

 お試しで付き合うことってできるかな?」


 ヒトミが言う。

「恋愛なんてそんなもんじゃないの?」


 カナデが言う。

「私もそう思うよ」


 ミサキが言う。

「じゃ、付き合ってみたい。

 フィーリングは悪くなかったし、

 卒業しても私と同じで実家から通うだろうし」


 カナデはスマホを手にとって、ミサキの気持ちを添えて、メッセージを送る。

 すぐに電話がなった。


「カナデだよ。うん。わかった替わるね」


 カナデはミサキにスマホを渡す。

 ミサキは緊張しながら電話に出る。

「もしもし、ヒカルくん?

 あの、もし良かったら、私と付き合ってみてくれないかな?

 試しでも良いんだ。

 フィーリングが合う気がするの。

 卒業しても実家から通うのでしょ?

 私も実家からだし。

 離れ離れにはにはならないし、お互いにとっても良いかなって。

 うん。わかってる。むしろ、だからこそ安心できるかな。

 いいの? 本当に? 嬉しい。

 よろしくね? ありがと。

 あ、グループのやつね。うん先約だし仕方ないよね。

 え? わかった、嬉しい。

 うん、ちゃんと私から連絡するね。

 え? 連絡してくれるの?

 いつでも良いよ?

 うん、ありがと、大好き」


 ミサキはスマホをカナデに返した。

 そしてカナデに抱きついた。


「……カナデ、ありがと、彼氏ができたよ。

 グループデートは代役立てるって」


 ミサキは、カナデに抱きついたまま泣き出した。

 カナデはミサキを抱きしめてあげた。


 ヒトミがもらい泣きしながら言う。

「ミサキおめでと、あっというまに彼氏作っちゃったね?

 カナデには頭が上がらないね?」


 よくわからなかったが、気がついたら、カナデももらい泣きしていた。



……



 ∀XLのプライベートルーム、共同スペース。


 ヒカルとカナデは勉強をしていた。


「ヒカルくん、ミサキでよかったの?」


「うん。裏表のない思いやりのある子だしね。

 しっかりしてるし。

 他の子は結構、裏表あって冷たいところあるからね」


「まーそっか、私も最近はなんとなく裏事情が見えてきたから納得かも。

 普通の男子にはわかりづらいよね」


「まーね。でも、男子になった途端に、別人みたいに態度が変わる子が多いから、驚いたよ」


「ヒカルくんは、優良物件らしいから、仕方ないかもね」


「なんか複雑な気分」


「リュウジくんとヒトミはどんな感じなんだろ?」


「リュウジくんは、一昨日のグループデートでマキと仲良くなったみたいだよ。どうするか決め兼ねてる感じだね」


「マキか……強敵だね。

 勉強教えてもらうって話はダメだったのかな」


「図書館で一緒に勉強してるらしい。

 マキも昨日から参加することになったってさ」


「マキはおしが強そうだよね。

 ヒトミは逆に男子に対してはおしが弱すぎるからな」


「マキの方が有利そうだね。

 ヒトミにはアツシくんを紹介してあげようかな?」


「アツシくんはグループデート、ダメだったの?」


「卒業したら遠距離になるのが不評だったみたい。

 マキはリュウジくんと仲良くなってたしね。

 マキとヒトミって志望大学いっしょだったよね」


 カナデは、ヒトミにメッセージを送信する。

 加速世界とのタイムラグはかなりあるので、勉強をして待つ。


「返事きた。

 紹介して欲しいって。

 なんか、マキとリュウジくん、雰囲気が良すぎて辛かったらしいよ」


「それは災難だったね……アツシくんに連絡入れてみる」


 ヒカルは、アツシとリュウジにメッセージを送信する


「うーん。かわいそうだけど、リュウジくんは脈なしだね。

 反対にアツシくんは乗り気みたい。

 勉強会にいっしょに参加してくれることになった」


「そっか、ならよかった」



……



 1週間後のお昼休み、カナデとミサキとヒトミの3人は、中庭のベンチに座りお弁当を食べていた。



 ヒトミが言う。

「昨日さ、アツシくんに告られた」


 ミサキが言う。

「返事は?」


「もちろんOK」


「おめでと、一時はどうなるかと思ったけど安心したよ」


 カナデが言う

「おめでと。よかったね」


「ありがと。

 カナデ、いろいろありがとね、感謝してる」


「気にしないで。むしろヒカルくんに感謝してね」


「わかってる。

 あとはカナデだけか」


「いあ、私、かなり前から相手いるから」


「うそ? 誰?」


「彼氏相手でも他言しないなら教える」


「しない、教えて?」


「本当に?」


「うん、約束する」


「トモちゃん。1つ上の先輩。幼なじみ」


「トモ先輩? うっそ?

 すご。そこらの男子よりずっとイケメンじゃん。

 応援する。超羨ましい。

 男子に興味ない訳だ。私だってトモ先輩相手ならそうなるよ」


 ミサキが言う。

「私はヒカルくんから聞いて知ってたよ。

 私も応援してるからね」


「ありがと」


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