こいばな
夏休み明けのテストで、カナデは、3位になった。
上の二人は超難関大学の志望者なので、幸先の良い出だしだ。
同じ中学出身のミサキ達は、驚いていた。
カナデは学校では、ミサキと一緒にいるように心がけた。
女子同士の付き合い方がよくわからなかったのと、
裏表がなく面倒見の良いミサキと一緒にいるのが楽だったからだ。
お昼休み、カナデとミサキとヒトミの3人は、中庭のベンチに座りお弁当を食べていた。
ヒトミが言う。
「カナデ、いまだに信じられないんだけどさ、
本当にあのヒカルが男子になったの?」
「うん、180センチの超イケメンになった」
「それほんと?」
「嘘言っても仕方ないじゃん」
「近所に住んでて仲良いんだよね?
幼なじみらしいし」
「まぁね」
「紹介してよ」
「なんで私にいうの?
ヒトミのほうが付き合い長いのでしょ?
普通に電話すればいいじゃん」
「いあ、ほとんど会話なかったし、電話番号しらないし。
いきなり男子に連絡とか勇気でないし」
「それで興味あるの?
今更感ない?」
「だって、あの名門の男子高出身者になるんだよ?
しかも、あの私大に推薦で合格しちゃってるし、
身長も高くて、超イケメンなんでしょ?
元女子で女子の苦労にも理解あるだろうし。
優良物件じゃん」
ミサキが言う。
「私も興味あるな。
同じ私大を受験する予定だしね。
浪人覚悟だけど……」
カナデが言う。
「ミサキまで?」
ヒトミが言う。
「文化祭に来てもらえないかな?」
「男子が校内に入れるのって限られてるから、
文化祭の時に担任の先生に挨拶にしに来るって言ったよ」
「Cクラスか……他の子に先越されろそうだな」
ミサキが言う
「カナデ、カラオケとかセッティングしてよ」
「私が?」
「カナデしかいないじゃん。それとも狙ってる?」
「いあ、それはない。友人ではあるけど。
ヒカルくんね、いま教習所通いしてるから忙しいんだよね。
でも、土日や祝日なら都合つけられるか……」
「「是非!」」
「今大丈夫かな……?」
カナデはスマホを出し、ヒカルにメッセージを送る。
すぐに電話がかかってくる。
「あ、ヒカルくん? ごめんね。
食事中?
大丈夫?
ありがと。
突然ごめんね。
同じクラスのミサキとヒトミと仲良くなったんだけど、
ヒカルくんのこと気になるらしくて、
カラオケとか一緒に行きたいって言ってるんだけど、行ける?
ミサキとヒトミとヒカルくんの3人で、
あー……そうなんだ。
ちょっとまってね」
ヒトミが言う。
「どうしたの?」
「Cクラスの子と予定があるらしい。
それと一緒でも良ければってさ」
ヒトミが言う。
「Cクラスの子より先に予定作れない?」
「ヒカルくん待たせてごめんね。
Cクラスの子より先の予定って空いてる?
今日?
うん。ちょっとまって」
ヒトミが言う。
「今日いいの?」
「うん。急に予定が空いたんだって。
今日の夕方なら大丈夫だってさ」
ヒトミが言う。
「じゃ、それで」
「おまたせ、じゃそれで、うん。
駅前ね。わかった。
え? 私も? いいじゃん、3人で楽しみなよ。
恥ずかしい?
男子でしょ?
都合の良い時だけ元女子とかいうのやめなよね。
Cクラスの子とはどうするつもりだったの?
グループデート?
なるほどね。
駅前の待ち合わせまで同行するね。
ありがとね、急なお願い聞いてもらって。
またね」
ヒトミが言う。
「で?」
「今日の放課後、駅前で待ち合わせ。
そこまでは私も同行する。
そのあとは頑張って。
Cクラスの子とのグループデートは、
ヒカルくんの高校の男子からお願いされたらしいよ。
同じ中学の3人だって」
ミサキが言う。
「あー……アツシくん、タカヒロくん、リュウジくんか。
あの3人どういう感じになったんだろ?
カナデは知ってる?」
「私が知るわけないじゃん、高校違うし。
中学時代も接点なかったしね。
そっちまで面倒みられないからね?
気になるならヒカルくんに紹介してもらえば?」
ヒトミが言う。
「お願いなんだけどさ、
カナデも最後まで同行してくれない?」
「んー……。
じゃさ、待ち合わせ場所で連絡先の交換までは付き合ってあげる。
あとは自力で頑張って」
ミサキが言う。
「連絡先の交換の話を切り出してくれるってこと?」
「うん」
ミサキが言う。
「OK、ありがと、私はそれで良いよ」
ヒトミが言う。
「連絡先交換が保証されてるのか……。
うん、アタシもそれでいい」
……
放課後、駅前。
カナデが言う。
「二人とも大丈夫?」
ヒトミが言う。
「緊張してる」
ミサキが言う。
「私も。
電車きたね。きっとあれに乗ってるんだよね?」
カナデが言う。
「いたいた」
ヒトミが言う
「どこ?」
「すぐくるから待ってて。
面影あるからわかると思うよ」
ミユキが言う。
「あー、あれか。
イケメンじゃん。タイプかも」
ヒトミが言う。
「うっそ、あれ?
かっこいい。
背が高いね。
女子の時も背が高めだったしね」
ヒカルが近づいてきて言う。
「おまたせ。
久しぶり、みんな元気だった?」
「「うん」」
カナデが言う。
「とりあえず、連絡先交換してあげてくれる?
嫌なら別に良いんだけど」
ヒトミが言う。
「ちょ、何言ってんのよ、カナデ」
「あはは。カナちゃんは相変わらずだね。
僕は問題ないよ、よかったら交換しよ?」
「「うん」」
3人は連絡先を交換し合う。
カナデが言う。
「とりあえず、私はここまでね。
お互い知らない仲じゃないのだから大丈夫でしょ?
頑張ってね?
感想聞かせてねー」
カナデは、その場を後にして帰宅しようとした。
ヒカルが引き止める。
「あ、まってカナちゃん」
「どしたの?」
「急なんだけど、
人数合わせ頼んでも良い?」
「なにそれ?」
「タカヒロくんとリュウジくんがついてきちゃった……」
「それ、私、必要?」
「すごく助かる」
「……わかった」
ヒカルが手招きすると、タカヒロとリュウジが姿を表す。
タカヒロが言う。
「久しぶり、ミサキ、ヒトミ、カナデ」
リュウジが言う
「みんな、久しぶり。カナデはすっかり見違えたね」
ミサキが言う。
「久しぶり、背伸びたね?
みんな大人っぽくなってるね」
カナデが言う。
「二人ともよかったら、
ミサキとヒトミと連絡先交換してあげてくれない?」
タカヒロが言う
「え? いいの?」
ミサキが言う。
「私は良いよ」
ヒトミが言う
「私も」
4人は連作先を交換し合う。
リュウジが言う。
「カナデは交換しないの?」
「私、おまけだしね。
ヒカルくんみたいに心の整理がついてないんだ。
何か用事があったらヒカルくんに言ってね。
一緒にネトゲしてる仲だから」
「了解。『VXR』だっけ?」
「うん」
「X/ファンタジーより面白い?」
「私は『VXR』のが好みだったよ。後発だしね」
「そっか、始めるかもだから、その時はよろしく」
「うん。でもそんな時間あるの?」
「俺もヒカルと同じく、推薦枠確保したから受験生じゃないの」
「そなんだ、おめでと」
ヒトミが言う。
「おめでと、どこに進むの?」
「私立のR大」
「R大かすごいね」
ミサキが言う。
「おめでと。
タカヒロくんは?」
「俺は受験生。
国立のP大志望だけど、
B判定なんだよね……もっと頑張らないと。
アツシは、国立のK大志望でB判定らしい」
「みんなすごいな、難関大学ばかりだね」
ヒカルが言う。
「とりあえず、お店入ろっか?
中で話しよ?」
……
カラオケ店に入り、ドリンク等の注文を入れてから、
女性チームは、女子トイレに向かう。
カナデが言う。
「ついてこなくても良いのに」
ヒトミが言う。
「作戦会議に決まってるじゃん」
ミサキが言う。
「やばい、目移りしてきた。
みんなかっこいいし、良い大学目指してる」
ヒトミが言う。
「やっぱあの男子校の生徒は、意識が違うよね?」
カナデはトイレで用を足す。
ヒトミが言う。
「カナデはどう思う?」
「うーん、話が合えばそれで良いんじゃない?」
ミサキが言う。
「話か……さっきリュウジくんが言ってたV何とかってなに?」
「それを本人に聞くのが良いと思うよ。
話のネタになるでしょ?」
「そうだね……」
「じゃ、戻ろっか」
3人は室内に戻る。
すでにタカヒロが歌い始めていた。
カナデが言う。
「リュウジくんさ、ミサキが『VXR』のこと知りたがってるのだけど、教えてあげてくれない?」
「ああ、いいよ」
リュウジはミサキに説明を始める。
ミサキは楽しそうに聞き入る。
カナデが言う。
「ヒカルくんさ、ヒトミ進路選びに困ってるみたいなんだけど、アドバイスとかできない?」
「うん、僕で良ければ」
ヒカルはヒトミと話を始める。
カナデは、曲を入力して自分の番に備える。
タカヒロと交代するように、カナデは歌い始める。
タカヒロはヒトミの進路相談に参加していた。
そのうち、ミサキも進路相談に参加する。
ヒカルは少し話してから離脱し、リュウジとカナデと一緒に『VXR』の話をし始めた。
ヒトミが離脱し、『VXR』の話の輪にはいる。
タカヒロとミサキは二人で別の話をして盛り上がり始めた。
リュウジとヒトミが二人で別の話をして盛り上がり始めた。
ヒカルとカナデは、曲を入れて交互に歌い始めた。
楽しい時間がすぎ、御開きになった。
ヒカルとカエデは同じ方向だったので一緒に帰った。
タカヒロはミサキを、リュウジはヒトミを家まで送ってあげることになった。
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