女性化

 現実世界にもどると、少し残念な気持ちになった。

 素敵な夢から醒めた感じだ。

 ヘッドキアを外し、体を確認する。


 この短時間のうちに、向こうの世界の自分を自然に思えていた。

 不思議なことに、現実世界の自分がすこしだけ不自然に感じた。


 カナデは、すぐにあちらの世界へ戻りたくなり、

 食事と入浴を済ませて、すぐに加速世界へログインした。


 カナデは、就寝時刻にアラームをセットすると、ソファーに寝転びながら、漫画や音楽、動画などを楽しむ。楽曲を口ずさむと、のどから心地よい女性の声が当たり前のように発せられるのが楽しかった。

 


 深夜過ぎ、トモがログインした。


「トモちゃんおかえり」


「カナ、ただいま。つかれたよ」


 トモはカナデに抱きつく。


「癒されるー、カナ大好き」

 

 カナデはトモをソファーに座らせる。

 トモはカナデを離さないで、抱き寄せる。


「少しこうさせてー」


「……わかった」


「カナ……」


「なあに? トモちゃん」


「キス、しよっか?」


「何言ってるの?」


「バーチャルだから大丈夫」


「え? 本当にするの?」


「いいから、おいで、ちゃんとアタシを受け入れてね?」


 トモはカナデをさらに抱き寄せると、甘く深い口づけを交わした。

 カナデはトモを受け入れた。

 カナデは不思議な気持ち良さに酔いしれた。


「カナはやっぱり可愛いな。

 すっかり女の子してくれてる」


 トモは、立ち上がると、カナデをベットに連れてゆき、ワンピースを脱がし、ベッドに座らせる。

 カナデはトモの誘いに抗うことができなかった。

 

 トモはカナデの隣に座り、ブラの上から指で胸を愛撫した。


「愛してるよ、カナ」


 トモはカナデにキスをする。

 カナデのブラのホックを外し、胸をあらわにする。


 ベッドに優しく寝かせ、焦らすよう手でに体中を愛撫する。


 カナデは、快感に酔いしれた。


 トモは胸を愛撫しながら、片手をショーツに忍び込ませ、指で局部を愛し始めた。

 

 程なく、カナデは女として初めての絶頂を体験した。


 トモはディルドを取り出し、自らの局部に装着すると、カナデを貫き、心ゆくまで二人で愛し合った。



……



 就寝時刻のアラームがなって、ログアウトしたカナデは、トモとの体験で頭がいっぱいになっていた。


 朝にまたログインしたいと思い、すぐに就寝した。



 翌朝、カナデは、早めに起床し、∀XLアクセルにログインする。


 トモはすでにログインしており、勉強をしていた。


「カナ、おはよ。昨夜は楽しかったよ。

 最高に気持ちよかった。

 また今夜もしようね?」


「……うん」

 カナデは恥ずかしそうに答えた。


 トモは、カナデのそばにくると、カナデを抱き寄せ、キスをする。

 カナデは嬉しそうにトモのキスを受け入れた。

 しばらく二人はキスを楽しんだ。


「欲しがり屋さんだね? カナは。

 夜まで待ってね?

 ちゃんと勉強しなよ?

 でないとしてあげないからね?」


「わかった」


 カナデは、トモの隣に座り、今日の範囲の再予習をしてから、学校へ向かった。


 そんな生活が半月ほど続き、カナデは期末試験を全科目トップの成績で終えることができた。周囲はカナデの大躍進に驚いていた。


 すぐに夏休みが始まった。


 カナデは加速世界で勉強していたので、学校から出された夏季の課題は、たった2日で終わってしまった。



……



 夏休みに入って一週間ほどたつと、カナデは、全身に筋肉痛のような痛みを感じるようになった。肌もかなり敏感になったような気がした。


 トモの勧めもあり、病院へ行くことにした。


 成長痛ではないか? と診断された。

 ただ、お尻と胸のあたりが妙に膨らみ始めていたので、医師は不審におもい、精密検査を実施した。


 結果、カナデは、遺伝子レベルで、女性であることが判明したのだ。


 骨格も女性の骨格に変化している最中であり、体内には子宮があり、いつ初潮がきてもおかしくない状況だと告げられた。


 すぐにオペが実施され、男性器を切除されてしまった。

 切除した後には、すでに完成していた女性器があらわになった。


 体の変化は1週間ほどで安定し、すっかり女性の体に変化し、

 胸とヒップは膨らみ、体は華奢になり、身長はかなり縮んだ。

 骨格が変化したので、体型もかなり変わってしまった。

 声はすっかり女性のものに変わった。



 カナデはショックを受けたが、加速世界で女性として生活している時間が長かったせいか、ほとんど違和感を覚えることなく女性に移行できた。男性の時に覚えていた、ログアウト時の違和感もすっかりなくなってしまっていた。



 カナデは、ヴァーチャルとリアルがつながったような気がした。



 カナデの両親は、学校の教員と相談し、近所の女子高に2学期から緊急で転入することに決まった。トモが通っていた女子高だ。


 格上の学校のため、編入試験を課されたが、カナデはかなり優秀な成績で通過した。夏季の課題も渡された。新しい担任からは、別にやらなくても良いと言われたが、これも2日で終わらせた。

 

 トモはとても喜んでくれた。


 名実ともに自分の後輩であり妹分になったからだ。


 そして、難易度が上がるが、進学先もトモと同じ女子大にするようにアドバイスされた。


 同居して、同じキャンパスに通いたいと言われたのだ。


 カナデは、次の模試から、志望校をトモが通ってる女子大に変更した。

  

 トモの特訓のおかげもあり、模試でカナデはA判定を取れた。


 両親も新しい学校の担任も、この成果に喜んでくれた。


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