第20話 雷鼓の好物
男が自己紹介を済ませるとユキが「先程は失礼しました、大沼さん、私はユキ、この喫茶店で主に給仕を担当してます。そしてこの雷鼓ちゃんと戦っていたのがうちのマスターの」まで言うと直ぐに私が「私の名などどうでも良いだろう?ここのマスター、それだけで十分だ」と名を名乗られる前にユキの言葉に割って入る。ユキは溜息をつきながらこちらを軽く睨みつけた後「…マスターで貴方と戦っていたのが当店の接客係兼セキュリティーのアンです」と言うとアンはいつの間にか椅子へ座り、自分だけ水を飲んでおり、手をヒラヒラさせている。そうしているとリヒトが立ち上がり「…何和んでんのさ…僕達はまだ認めたわけじゃないよ?」とまだ自分の力では立てないシャインへ肩を貸しながら大沼を睨みつける。するとユキが「2人共、この人は敵じゃ…」と言うと私は「…これ以上醜態を晒す気か?貴様らではどう足掻いても彼には勝てん、まだ分からんか?」と言うがリヒトは「命に変えてでもそのおっさんは殺す、舐められっぱなしは僕ら自身が許せない」と言うとふらつきながらもナイフを構えるするとアンが溜息をつきながら「このあたしですら殴り勝ててないんだ、それとも何かい?あんたら2人の方がアタシよりも強い、そう言いたいのかい?」と双子へ殺気を放ちながら言う。するとリヒトは何も言わないが大沼を睨みつけ続けている。するとアンは双子へゲンコツを一発くれてやると「どうせもう今日は使いもんにならないんだから部屋で寝てな!!」と言うと双子の襟首を持ち、店の奥へ消えた、恐らく双子を部屋に押し込めに行ったのだろう。
そうしていると店内へグーと言う音が響き、雷鼓が照れながら「戦ったらお腹すいた!!おーさんもそうだよね!!」と言った、すると店内は先程までの空気とはうって変わり、和やかな雰囲気になる、大沼は「そうですね、課題は多くありますがとりあえず食事にしましょうか」と言うとメニューを開き、ゆっくりと読み始める。そこで私は「メニューに無いものもある程度のものなら作れる、まぁ食材があれば、だがな」と言うと雷鼓はメニューを見ずに「僕はオムライス!!」と言うので私はフライパンを取りだし、油を引き温め始める。大沼はメニューをゆっくりと見ているようなのでユキへ大沼の注文が決まったら私へ言うように頼み、オムライスを作り始める。
一言でオムライス、と言っても多くのオムライスがあるが私が作るオムライスはベーシックなものであり、特別な調理等はしない。
まずは玉ねぎとベーコンを細かく刻み、そして温めたフライパンで炒める、ベーコンに焼き目がつき、玉ねぎが透き通ってきたところで一人前のライスを入れ、塩コショウを振り、あおり炒める。一般家庭の魔力コンロならあおり炒める必要が無いがうちのコンロは特別性で火力がかなり高いため、ふっくらと仕上げるためにあおる。全体が混ざり、ライスにも軽く焼き目がつく前にケチャップ、ソースを入れ、ケチャップライスを作る、この際コツ、という程ではないがケチャップとソースの水分をしっかり飛ばして絡めておくのが私のこだわりだ、水分を飛ばすのと飛ばさないのでは大きく違う。
ケチャップライスが出来たところで皿に盛り付け、卵を三つとき、そこへ生クリームを混ぜる、そしてさらにコクを出すためにチーズを少々入れておく、気を付けるのはこの時チーズを入れすぎるとくどすぎるオムレツになってしまう、チーズオムレツにするのなら構わんが今作るのはオムライスの為、気を付けておく。そしてケチャップライスを作ったフライパンとは別のオムレツ用のフライパンを取りだし、バターを溶かす。バターが熔けたところで卵液を入れる。ここからは時間との勝負のため私と言えども油断はできない、注いで少し置き、フライパンと接している卵が固まる前にかき混ぜる。この作業は卵が半熟になるまで続ける、半熟になったところでフライパンと接している部分を剥がし、半熟卵の3分の1程のところまで折りたたみ、そして卵全体を端に寄せる。そしてフライパンを右手で持ち上げ、卵を包み始める。この際のコツだが右手を固定し、左手でフライパンを叩くのではなく、左手を固定し、右手を上へあげ、左手に当てる、という感覚でした方が上手く包める。数回すると包めるため完全に包めたらケチャップライスの上へオムレツを置き、包丁で真ん中に切れ目を入れ、ケチャップライスを包む、そしてケチャップをかけ、パセリを振れば完成だ。
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