第17話 速さ対剣技

私は少女と向き合いながら双剣を構えつつユキ達を巻き込まないよう少しずつ移動する、すると彼女も素直に着いてくる、その際チラリとアン達の方を見ると骨を折られたり真正面から拳を受けながらも確実に相手にダメージを与え続けていたので私はとりあえずしばらくアンへの援護はしなくても良いだろうと判断し、確実にユキ達を巻き込まない距離まで移動しきると目の前の少女へ向け「待たせたな、あの二人を巻き込みたくなかったのでな、それでは…始めるかね?」と私が問うと少女は「うん!!お兄さん強そうだけど僕も負けないぞ!!」ととてもこれから戦う者同士の会話とは思えない返答を返してきた、目の前の少女はトントン、とステップを踏んだと思うととんでもない速さ、そう、あの双子以上のすばやさで私の懐に入り、数発の蹴りとパンチを当ててきた、反応しきれなかったが速さの分威力は無いのだろう、多少のダメージはあるが私が経験してきた戦闘ではほぼノーダメージと言える状態だ。しかし私が反撃の為双剣で刺突し、切り裂こうと突き出すが少女は既に私の傍から離れ、こちらの隙を伺っている、おそらくは距離さえ開ければ私には攻撃手段が無いと思っているのだろう、表情にもその余裕が見て取れる。

「…右へ避けろ」と私が言うと少女は「え?」と首を傾げる。それを見て私は手にしている双剣の内右手に持っているものは弧を描き、頭上から少女の頭へ当たる軌道で投げ、左手の双剣はまっすぐ少女へ飛ぶように投げた、少女にとっても全くの予想外だったのだろう、反応がかなり遅れており、投げた双剣がかなり近くになってから動き出した、そのため私に対する注意が疎かになっており、私はその隙をつき、鞘や柄だけでなく、刀身もほのかに緑色の刀を手に取り、少女の避けた先で待ち構え、逃げ込んできた所で彼女の首元へ向けて刀を振る、が私の中でとある疑問が生まれていた、その疑問を解決する為に私は少女に刀を当てる寸前で止め、彼女に自らの疑問を問うた。

「…何故君からは全く殺気を感じないのかね?君が本気になるほどでもない、と私を舐めているのか…返答にこのまま首をはねることになるが?」と私が言うと少女は「え?だって僕もおーさんもファイターだよ?そりゃあ戦うんだから事故で死んじゃうかもしれないけどなんでわざわざ最初から殺す気で行かないといけないの?」とキョトンとした顔で答えた、その返答を聞き、私は刀をしまい「ではなぜ私の店に来たのかね?…君はともかく彼は我々からしたら排除すべき者達と同じ存在と感じているのだが」と言うと少女は「うーんとね〜僕がおーさんに特訓してもらってら僕とおーさんの技と技のぶつかり合い?でなんか変な現象が起きて異世界に飛ばされて…お腹減ったからご飯が食べれそうなお店だったから!!」と答えた。そしてすぐに「おーさんが排除すべき存在?なんで?おーさんは確かに厳しくてめちゃくちゃ強いけど優しい先生だよ?この世界に来る前だっておーさんご飯食べる前だったのに僕が頼んだら特訓に付き合ってくれたし!!」と続けた。

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