第15話 新たな来訪者の2人 前編

ユウが安心し、青ざめさせていた顔色が戻ったのを確認し、私は彼におかわりのコーヒーを出す。

「…まぁ先程ユキが言った通りだ、この国が戦乱に巻き込まれ、我々にまで被害が及ぶようなら手を貸す…まぁ君の師匠が居ればそうそう苦戦はしないだろうが、ね」と私が言うとユウも頷き、そうですね、と笑いながら言った。

ユウがコーヒを飲み始めると扉が勢いよく開けられ、黄色い髪をツインテールにしている小柄な少女が店に入ってきた。そして彼女はキョロキョロと店内を見たと思ったらすぐに外へ向けて

「おーさん!!このお店おーさんが好きそうな雰囲気だしご飯美味しそうだよ!!」

と言った。すると直ぐに彼女とは逆に高身長の男性が店に入りながら「雷鼓君、元気の良さが君の良いところですが初めては入る店ではもう少し落ち着いた方がいいですよ?」と言っていた。彼が店に入るとユウ以外の我々全員が彼に良く似た雰囲気の者を知っており、リヒトとシャインの2人は普段ケラケラと笑っているのにナイフを出し、彼を真っ直ぐと見て殺気を放ち、アンはユウを庇うように立ち、殺気を放ちながら拳を構えた。

この3人の行動を見てユウと雷鼓と呼ばれた少女はオドオドとし始めるが殺気を向けられている張本人である彼は笑いながら「おや?なにか失礼をした記憶は無いが…その様に殺気を向けられては…昔の血が騒ぎますね」と言うと雷鼓と呼ばれた少女へ手招きし彼女を庇うように前に立つと「やる、というのなら相手しますよ?もっとも…怪我で済ませる自信は無いがそれでもいい、というのならですがどうします?」と続けた。

私は店に被害が出ると判断し、私の固有結界を使うと決めるとユキへ魔力を回せ、でないと店が壊れると耳打ちするとユキはすぐに魔力を私に回した、それを確認すると私はすぐに発動する。

全員が炎に包まれると同時にだだっ広い草原に無数の剣や槍、刀などが刺さっており、空には巨大な歯車がある私の固有結界に引きずり込まれる。大概の者はこの時点で驚き、固まるものだが彼は「…この様な力を持つ人間が、彼らの中に居る、と…初めての遭遇ですね」と笑っていた、その姿を見るとリヒトとシャインは走り出しながら「おっさん随分余裕じゃん?…死になよ」と言いながらナイフを突き出し、彼に襲いかかる、それに対しても彼は特に動揺する様子はなく、ため息をついていた

リヒトは彼の前から「…死にな」と言うと彼の喉元を切り裂く為にジャンプしながら切り付けた、がリヒトが振り抜くよりも早く彼はリヒトに対し左手でアイアンクローで掴み、「バレバレの攻撃を仕掛けるとは…青二才ですね」と笑っている。すると背後よりシャインが「リヒトを離せ!!」と彼に向けて刺突しようとするが彼はリヒトを掴んだまま右手で黒炎を纏った拳を放つ。シャインはそれを読めておらず、真正面から食らってしまい、吹き飛ばされる。シャインはどうにか立ち上がろうとするがダメージが大きすぎたのだろう、膝に力が入っておらず、全くたちあがれる気配が無い。リヒトも彼の体を殴る、蹴るなどの多少の抵抗はしているようだが彼は全く動じず「甘すぎる攻撃の代償は大きいですよ?」と言うとリヒトを地面に叩きつけた。

双子は彼に対し、全くダメージを与えることなくのされていた。

その様子を見てアンはニヤリと笑いながら「どうやらあの2人じゃなくて私向けの相手みたいだね」と言いながら双子を軽くのした彼へ向けて歩き出した。

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