第11話 休憩、そして賄い

我々3人が食事をしている間、ほかの皆は食器を片付けたり、午後からの営業の準備をしていた。アリアは連日泊まりがけの仕事の疲れと腹が脹れた為かうつらうつらとし始めた為、ユキが彼女の部屋に連れて行った。リンは食後のコーヒーを飲んだと思ったらすぐに出ていき、酒を買ってきたかと思うと私の部屋の場所を聞き、店の奥に姿を消した。おそらく1人で酒盛りをしているのだろう。

ユキが戻って来たところで私は「…すまん、久しぶりにゆっくり出来た、お礼と言ってはなんだが今日の昼食の賄いは何でも作ろう、好きなものを言ってくれたまえ」と言うとナホは「マスターさんはいつも朝早くから頑張って下さってるんですからたまには息抜きという意味でもあんな時間は必要ですから気にしないでください」と言い、双子といえばナホさんやっさし〜と茶化していた。アンはいつの間にか椅子に座り「とりあえず肉料理ね〜」と言っている。ユキは「今日はやけに素直ね」とニコニコ笑っている。

アン意外は特にメニューの希望が無い様子の為、私は「米かパン、どちらがいいかね?」

と聞くとアンは米でガッツリとしたもの、ナホは米でサッと食べられるもの、ユキと双子はパンと言う別れ方だった。とりあえずメインの食材は決めていたので私は調理に取り掛かった。

まずは豚のロース肉5枚を包丁で筋を切り、そして塩コショウで下味をつけ、バッター液、パン粉にくぐらせて行く。揚げ物用の鍋に肉屋で特別に下ろさせている豚の脂、と少々の水を入れ、熱していきラードを作る、ラードを作っている間に玉ねぎ、キャベツを刻んでおく。

ラードがある程度の量で来た所で豚肉を入れ、パン粉がきつね色になるまで揚げていく。4枚は中まで火が通るように揚げるが1枚は中まで完全に火を通すのではなく、少し早めに揚げ終わる様にしておき、よく油をきっておく。油をきる際はすぐ揚げ物を振るのではなく、揚げ物の先端を油につけ、そして最後に振る様にすると綺麗に油がきれる。

トンカツが揚がった所で鍋屋に特注で作らせた丼用鍋に常備している煮干しと昆布の合わせ出汁、醤油、みりん、砂糖を入れ、砂糖が溶けたら玉ねぎを入れる。玉ねぎに火が通り始め、透明感が出始めるとトンカツを鍋に入れ、軽く煮る。衣が軽く割り下を吸ったところで溶き卵1個分を鍋に入れ、卵に火が入り、軽く膨れるまで火にかけ、さらに溶き卵1個分を追加し、火を消し蓋をして軽くむらす。30秒ほどむらし、丼飯に乗せ、カツ丼の完成だ。

続いてカツをカツ丼よりも細く切り、カレー皿に米を盛り付け、その上にカツを乗せて特製のカレーをかけ、半熟に焼き上げた目玉焼きを乗せてカツカレーの完成、続いてパンを軽く焼き、バター、辛子を塗り、千切りキャベツ、薄くスライスした玉ねぎ、カツを乗せ、特製のソースを少し多めにかつにかけ、パンで挟む。そして半分にカットしカツサンドの完成だ。

腹を空かしているであろうアンから出し、席順通り、ナホ、ユキ、双子の順で出していく。ユキは「女の子に出すメニューとしてはどうかと思うけど…まぁいいわ」と言って長い髪をかきあげ、食べ始めた

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