第6話 カレーと大佐

扉を開けて入って来たのは軍服を着た金髪、色白で細身の男性であった、年齢はおそらく三十代後半から四十代前半だろうか?年齢は分からないが顔を見ると直ぐに誰かわかる、それほど有名な人物だ

「…ネクロマンサーと名高い大佐殿がうちのような小さな店になんの用かね?」と私が問うと彼は口を開き「おや?どうやら私を有名になったようですねぇ」と笑い、直ぐに「その有名な現役軍人である私に来られては困る…そう取れる発言ですよ?」と言う

彼の発言を聞き、店が空いてから常にドア付近に立ち、店内を視線のみで確認していたアンは懐からナイフを出し、カウンター内で私のサポートをしてくれているナホはどこから出しているのかは知らんがボウガンを構えて既に彼を狙っている。その二人を見て彼は「おや?今度は明らかに敵対行動を取られましたねぇ?これは困りましたねぇ」と余裕そうに笑っている。

「…2人とも武器をしまえ、まだ彼が我々に危害を与えに来たのかはわからん、それに仮に戦えば店への被害が大きすぎる」と二人を制し、「で?何をしに来たのかね?あのお人好しの国王と彼の小さな師匠の気に触るようなことはしてないつもりなのだが?」と言うと彼は笑いながら「その言い方、場合によっては陛下への侮辱罪に当たりますよ?…まぁ陛下からは貴方達はこの国に対して反乱を絶対に起こさない、逆に何度か国を救った英雄、と聞いてますからそこは気にしないでおきます」と言い、カウンター席に座り、「このような店に来てする事?食事以外に何があるんですか?」と惚けたように続けた。

「…それでは最初から素直に言えば良かったのではないかね?それとも軍人は全員そのような国内にある店全てに先程のような脅しをして回らなければ気が済まないのか?」と言うと彼は「ハッハッハッ面白いことを言いますねぇ?まるで貴方自身が元軍人であるかのような口ぶりですねぇ?どうなんですか?鷹の目のしがないマスターさん?」と返してくる。「…食事なら提供するが戦力として我々に頼るのなら大きな間違いだ、我々はこの店さえ守れればそれでいい、自らにかかる火の粉は払うがそれ以外はどうでもいい」と私も返した。そうすると彼は「…本当に陛下からお聞きしてる通りの人物ですねぇ〜まぁ本当に今日は食事に来たんですがね」と言いながらメニューをめくる。

メニューを一通り見た彼は「…最近暑いですから何か刺激的で元気の出るようなものが欲しいんですが…どれですかね?」と聞いてきたので私は「…おすすめでいいということかね?」と聞くと彼はお任せしますよ、とか得した為私はナホへ皿へライスを盛り、別の小皿にピクルスを盛り付けるように指示をし、私特製の中辛ビーフカレーを温める。盛りつけが終わったナホが「マスターさん、本当にあの人を信用していいんですか?」と小声で聞いてきたので私は同じく小声で「…おそらく今は大丈夫だろう、仮に本当に仕掛けるつもりだったなら先程の状況で何かしら攻撃を行っているだろう」と返す。そうしている間にカレーが温まったのでナホから皿を受け取り、カレーを注ぎ、それを彼の前へ置く。

「…待たせたな、当店のカレーライスだ」

と言うと彼は「カレー?…スパイシーな香りですねぇ〜私このような料理にはうるさいですよ?」と言いながら彼はカレーライスを食べる。

「…これは良いですねぇ程よい辛さに素晴らしいコク、さらに具材で入っている牛肉も丁寧に下ごしらえしてあり臭みがないのはもちろん、素晴らしい旨味を持ちながらこのカレーソースと素晴らしいハーモニーを奏でています。さらにこれは…玉ねぎとじゃがいもを細かくしたものをとかしてありますね?独特の甘みととろみがあります」と言いながら食べ進める。そうしてピクルスへ手を伸ばし、「…このピクルスもいいですねぇ舌が辛くなってきた所で食べれば甘酢につけてあるのでリフレッシュしてこのカレーがさらに美味しく食べられます」と言い、食べ進めた。

食べ終わり彼は「…カレーとは良いですねぇこの美味しさでしかも早く食べ終われる上に具材もおそらく色々使えますし…軍用食に向いてますねぇ」と言いながら財布を出し料金を払い、「なんなら貴方監修で軍用カレーを作りません?私の方から陛下へ打診しますよ?」と言った為私はお断りだ、と一言で断ると彼は「その回答だろうと思っていました、また疲れた時は来させてもらいます」といい、店を出た


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