第3話 ~洞窟を抜けると~

洞窟を抜けると、そこには頂が見えないほどの高さの木が何本か並んである、広大な森が広がっていた。


それに森を探索すると沼地などの特殊な地形もたくさんあり、その地の主みたいな強力な魔力をいくつも感じた。


森を一週間かけて探索すると、今の俺より圧倒的に強い魔力を放つモンスターが9体いた。


この一週間は自分の体の身体能力の把握をメインに、観察を使って、食べることができる木の実だったり、罠にはめて殺したモンスターを食べたりしながら過ごした。


確認してみたところ、今の黒鬼状態での身体能力は前世の最盛期よりは劣るが、最盛期の八割くらいだった。


慌ただしい一週間を過ごしているうちに捕食吸収もよく使った。


モンスタースキル「一角兎の角」「黒馬の俊足」を獲得


そんなある日、ある岩場の隙間から古くて今にも崩れそうな神殿を見つけた。


さっそく侵入すると外見とは違って、神殿の中はきれいな状態を保っていた。

誰も侵入したことがなさそうだ。


今考えるに、あの洞窟は岩場に埋まっていたこの神殿を探すためのものかもしれないな。


神殿のなかには、何のトラップもなく、モンスターもいなくて、拍子抜けだった。


順調に神殿の最奥にまで行くと、奥の玉座らしきイスに一人の骸骨さんが座っていた。

近くに存在感がある業物のハルバードもあり、骸骨さんが動くかどうか注意しながら近づいたが、ただの屍だった。


見るからにレアアイテムに スキル:観察 を使うと、


名:至高の玉座

等級:古代級エンシェント

スキル:体力中回復、体調安定化


名:銀龍の腕輪

等級:古代級エンシェント

スキル:魔力超回復


名:幸運の指輪

等級:伝説級レジェンド

スキル:幸運


名:アイテムボックス

等級:古代級エンシェント

スキル:亜空間収納


名:蒼磨のハルバード

等級:伝説級レジェンド

スキル:蒼乱刺突


<ちなみに等級は右にいくほど高い、一般コモン希少級レア特質級ユニーク秘宝級アーティファクト伝説級レジェンド古代級エンシェント幻想級ファンタズマ神話級ゴッズとなっている>


骸骨は古すぎたのか、それとも何かのスキルか、で観察できなかった。


他にもユニーク級やアーティファクト級のアイテムもアイテムボックスの中に数多く入っていた。


これらのことから、玉座に座る骸骨さんは名のある傭兵や冒険家のようなものだと思う。


この神殿も自分で建てたのかと思うと、死後に見つけてほしかったのかもしれない。


それにしては、岩を掘って神殿を作るくらいだから性格は悪そうだが。


アイテムは全てありがたくもらおうと思うが、予想以上にアイテムボックスが大きく(風呂の浴槽一つ分)持ち運びにくかったので、少し成功するか不安だったが、捕食吸収してみたところ無事成功した。


他にも玉座や幸運の指輪を捕食吸収した。

もちろん全部成功した。

アイテムの捕食吸収は確実なようだ。


それで一応ここで骸骨さんは、敬意をこめて冒険王とでも呼んでおこう。


ハルバードを使うためのスキルが欲しかったので悪いと少し思いながらも冒険王の頭から足先まで少しも無駄なく捕食吸収したところ、


スキル:長槍術、錬金術を獲得


劣化していたこともあってきっと冒険王のスキルのほんのごく一部しか吸収できなかったようだが、それでも二つもスキルを得ることができた。

二つとも今の俺にとって必要なので、これはさっき手に入れた幸運のおかげかと思った。


他にも使えるものはありがたく全部持ち出した。







この一週間で、捕食吸収でスキルを得ることについて、検証してみた。


一週間、森で過ごすうちに捕食吸収でスキルを得るには、同格か格下であった一角兎は何体も捕食吸収して一つのスキルを得るだけだった。


それに対して、黒馬は死んで荒らされていた死体のうち、まだ残っていた部分を食べただけで、スキルを一つ得ることができた。


冒険王も干からびた骨からスキルを二つも得た。


これらのことから、自分の存在の格とも呼べるものと相手の存在の格の差や捕食吸収する量によってスキルの獲得が変わってきそうだ。


これから強くなっていくにつれて、生物からはスキルをゲットしづらくなるので、積極的に捕食吸収していきたいところだ。


名:ルーク

種:黒鬼種

スキル:格闘術、身体強化、隠密、観察、体力中回復、長槍術、錬金術

固有スキル:捕食吸収、幸運、亜空間収納、体調安定化


モンスタースキルは単体で使うには難があり、もっと成長が必要なようだ。


小さい体には大きいが、蒼磨のハルバードは武器に、

銀龍の腕輪はかっこいいし、有用なので装飾品として装備しておく。


さて、これからハルバードや新しい体をうまく使いこなせるように修行だな。

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