第23話 同棲準備……?

 それからは何事もなく(?)土曜までなんともなかった。



 そして今日。凜と待ち合わせてショッピングモールへ行く。

 待ち合わせ場所は先週とおなじ場所だ。

 今は9時。

 ほんとは10時集合の予定だったんだけど、楽しみ過ぎて早く来すぎてしまった。


 ……どうしよう。あっ、そうだ。そういえばあのゲームのキャラに大幅調整が入ったらしいし確認しておこう。

 う~ん、なかなか大変そうだな。まあ調整が入ったと言ってもお試しの方のサーバーにだし、そのまま来ることはなさそうかな。


「……私は誰?」


 突然真っ暗になった。


「凜~?それじゃあ記憶喪失しちゃったみたいだよ?」


 笑いながら振り返る。


「……確かに。ところで」

「……?」

「……連、お待たせ。待った?」

「ううん、俺も今来たところ」


 この定番のやり取りをすることになるとは……


「……嘘」

「へ?なにが?」

「……連は30分も前からここにいた。そんなに私とデートするのが楽しみだった?」


 意地悪く笑いながら指摘してくる。ん?でも……


「あぁ、楽しみだったよ。だから約束の1時間も前に来ちゃった。でも、それを知ってるってことは凜はそれよりも前にいたんだよね?」

「えっあっいや、その……」

「正直に言わないんだったら今日のデートは恋人繋ぎはお預けかな」

「……正直に言ったらそれにハグも追加して?」

「それは凜次第かな~」

「……うぅ、わかった。連とほぼ同時に着いたんだけど、わざわざ私の為だけにオシャレしてきてくれてるんだ、って思ったらニヤケが止まらなくて、気が付けば30分経ってたの……」

「まったく……(ギュッ)」


 こんの可愛いやつめ!


 それからしばらく凜を抱き締め続けた。

 そして、周りの視線を集めまくっていることに気が付き、脱兎の如く逃げ出した。

 もちろん、凜の手をしっかりと握って。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る