第4話 偶然……?
土曜日
一週間早起きしなくてはいけなかったため、一日中惰眠を貪りたかった。しかし今日の正午には荷物が届くため、それに間に合うように家を出た。
荷解きは早目にしたいしね。
特になんの問題もなく引っ越しは終わった。
時間を確認すると13時だった。そろそろお腹すいてきたな。辺りを散策がてら昼御飯食べよかな……
思い立ったが吉日と早速外に出る。
どの方面に行こうかと悩んでいたら、正面から佐藤さんが歩いてくるのが見えた。
なんで?
捕まるとめんどくさそうだな。逃げるか。
何も見なかったことにして別の方向へ行く。
「あっ、鈴木君!偶然だね」
佐藤さんは手を振りながらこちらへ来る。
遅かったか……いや、まだ間に合う。他人事として反応せず歩く。
あんな人は知らない。あんな人は知らない。あんな人「ふんっ」「ぐはっ」
駆け寄って来てた佐藤さんにヘッドロックをかけられた。
ちょっと待て、男女の身長差を考えろ!二人とも日本の男女の平均くらいなので当然首が絞まる。息がっ、息がっ…………
許しを請うため首元の彼女の腕を叩く。
「ああ、ごめんごめん(笑)」
「ゴホッゴホッ」
この
「やあ佐藤さん。奇遇だね。それじゃあ俺は行くとこあるから」
「ちょっと待ってって」
慌てて腕を掴まれる。痛っ、こいつ握力どんだけあんだよ。全然取れねぇ。
「ご飯食べた?まだだよね。これから食べに行くのかな?私も一緒に行く!一旦家帰ってから来るから待っててね」
「おい、一緒に行くことを了承した覚えはないぞ。ってかご飯食べに行くとも言ってない」
「違った?」
「違くはないけど」
「嫌だった……?」
「嫌」
きっぱり答えると佐藤さんは俯いて手を放した。
「しょうがないな~」
「分かってくれた?んじゃまた「連れてってくれないなら学校で鈴木君に無理矢理イロイロされちゃったって言い触らしちゃおっと」っておい?!」
「うんうんしょうがないよね~」
「この小悪魔め」
「大体、こんな美少女とデート行けることに感謝しなきゃいけないくらいなんだよ?」
ふざけんな
そんな『美少女』といたことがバレたら絶対面倒なことになるに決まってる。
なんとか拒否出来ないかと考えてたら「んじゃすぐ戻るから!」と言って入って行った。
今し方俺が出てきたばかりのマンションに。
楽しかったことは否定しまい。
そして、佐藤さんに同じマンションに引っ越してきたことがバレて『奇跡』だ『運命』だと大騒ぎされることもあったが、まあそれはまた別の機会にでも……
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