第3話 生徒会……?
数分後俺は生徒会室にあった椅子に縛り付けられていた。
いやなんかね、佐藤さんの顔を見て逃げ出したと思ったらしい。うん、秒で扉を閉めた俺も悪かったよ?でもね、閉めた瞬間すごい勢いで扉が開いて流れるように連れ込まれ、そのままロープで縛り付けられるのはおかしいと思うんだ。ってかなんで生徒会室にロープあるんだよ……
「よく来てくれたね。鈴木連君」
「その前にこれほどいてくれません?」
「……さて、君を呼んだ理由なんだが」
「シカトかよ?!」
「冗談だ」彼はそういって笑いながらも解放してくれた。
居た位置的に彼が会長だろうか。とにかく、ここの生徒会ヤバイのしかいない!帰らなくちゃ!
バッと腰を浮かせ、後ろの扉を見ると佐藤さんが逃がすまいと扉の前に陣取っていた。逃げ道はなし、か。仕方無い話を聞くしかなさそうだ。
腰を下ろし話を促す。
「それで?なんの用だったんですか?」
「その前に、僕は会長の田辺駿だ。よろしく」
「……よろしくお願いします」
「さて、本題に入ろうか」
生徒会は前期の方が仕事が多く大変なんだそう。そして前期は2・3年しか立候補出来なく、後期や来年のときに引き継ぎをしなくてはいけない。さらに生徒の立候補が少なく、いわゆる生徒会離れとでも言うような状況になっているらしい。
そこで出された案が、1年の中から2人、書記・会計の補佐として付ける。というものだった。
そこで真っ先に白羽の矢が立ったのが佐藤さん。成績首位で入学、さらに容姿も誰に聞いても可愛いと言われるぐらいの美しさだ。佐藤さんには入学のときから話をしてあったらしい。そのときに佐藤さんに「もう1人補佐が欲しいから良さそうな人を見付けたら教えて」と言っていたらしい。
それで昨日助けられた俺を指名したらしい。
なんで俺なんだ?他にもっといただ「なんとなくですけど、こうビビっと来たんです」……さいですか。
いやまて、
「なんで俺の事分かったの?昨日名乗ってないはずなんだけど?」
「今日の放課に捜させていただきました。そのときにクラスの方に名前も」
知らなかった……寝てたからしょうがないか。朝早いせいで寝足りなかったし。
まあいい、話は分かった。
「それで、俺に拒否権はあるんですか?」
「嫌だったかい?」
「進んでやりたいとは思いません」
「えっ、やって…くれないの?」
声が聞こえて後ろを振り返ると、悲しそうな顔で上目遣いでこちらを見てくる美少女がいた。
……これに抗える人がいるなら教えてくれ。
「……やらせていただきます」
「ありがとう。それにしても君はあれだね。将来は尻に引かれそうだね」
余計なお世話だわ!
かくして俺の生徒会入りが決まってしまった。
こんな適当な入り方アリかよ……
「これからよろしくね!」
そう言って笑顔で手を差し出してくる佐藤さんを見て、この笑顔を見られるならそんなに悪くもない。と思い握手に応じる。
関わるのも『ここ』だけであることを祈りつつ、騒がしくなるであろう数日後に思いを馳せるのだった。
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