152 僕が知った経緯
おそらく俺よりフィンの方が知っている事が多いだろう。
だから先に俺の知っている事を話してしまおうと思う。
「確かに俺は冒険者学校に来る前、山荘で1年程メディアさんと一緒に暮らしていた。
しかし教わったのは魔法や戦闘術、
だから俺が此処の件について知っているのは図書館等にあった本に伝承や伝説として載っていた事くらいだ。話の流れとしては概ねこんな感じになる。
かつて人々は別の大陸に住んでいたが、その大陸は呪われた魔法により人が生きていけない場所になった。そこで人は巨大な船をつくり元の大陸を脱出した。
しかし目指した海域には住めない岩場ばかりの大陸しかなかった。そこで船の武器で住めない大陸を打ち砕き、幾つかの居住可能な新しい大陸を作った。
そこで呪われた魔法の扱いについて意見がわかれた。結果3派に別れ別の大陸に上陸する。この大陸には呪われた魔法の知識を全て捨てる派の人々が上陸した。
上陸した港はラ・カザと名づけられ、そこへの通路にあたる地にパス・ダ・ラ・カザという名がついた。
知識の散逸を恐れた人々の長らは長命化しエルフ族となり、人々を見守る事とした。また資源を管理する為、ドワーフという長命種が出来た。そしてこの大陸により適した人種として獣人族が出来た。
俺が知っているのはそんな嘘か本当かわからない話だけ。他は皆が知っている事と変わらない筈だ」
刀や細かい経緯について多少はしょった。しかし概ねこんな感じだろう。
「僕がこれらの知識について知った経緯から話すよ。
僕がイアソンさんに会ったのは2年前、バイト先の武器屋で店番をしていた時だよ。見た事のない金属を見せられてね、興味があるかいと聞かれて頷いた後、連絡先を教えたんだ。
その後1月に1回位で手紙がくるようになった。そこからはアルストム先輩と同じだよ。手紙で参考になる本を教えて貰って調べるという形だね。
ただイアソンさんが超神だという事は先輩に聞くまで知らなかったよ。ただ者では無いとは思ってはいたけれど。
僕がイアソンさんに本を通して教わった事は技術的なものが多いかな。古い言葉で科学というらしいけれどね、要はものの性質をつきつめて考えるという学問だよ。水を蒸発させれば蒸発前より体積がうんと増えるとか、そんな感じの。
僕がこの大陸の知られていない部分について知ったのもやっぱり本からだよ。太陽の角度で自分がいる大陸の大きさを測ったという古代の人の話が本に載っていた。それでこの大陸が、少なくとも昔の文献に記載があるのと同じ形なら球形だという事がわかった。
なら遠くなるほどだんだん低く見えて地平線に消える。それを確かめようと思ったんだ。僕の計算では
勿論この距離じゃ小さいものは目では見えない。だからやはり本に出ていた遠くを見る装置を作って確かめてみたんだ。
そうしたらとんでもない結果が出た。この大陸は東西方向には丸いけれど南北方向には丸みがないっていう結果が。
おかしい。そう思って他の方法で確かめてみた。南北方向なら星の角度で地球の丸みを計算できる。そして星の角度なら図書館に観測データがあるから。
その結果、星の角度で求めた南北方向の形と実際に僕が地上で装置を使って確認した結果で矛盾が出る事がわかった。
この結果ではエデタニア周辺だけは最低
僕にはこの謎が解けなかった。どう考えても何処かが間違っている。その事についてイアソンさんに手紙を出して聞いてみた。そうしたらラトレ
夜、
この前の一斉討伐で第15階層と第16階層の間にある地層とは思えない場所を見たよね。あれと同じような場所だよ。
ただ実際にその場所を何度も調べた。実際に行ってみるとあるのはトラス構造の錆びない鉄だけじゃない。
その場所を維持する人を襲わない魔物。馬よりも早く大量に物を運ぶ機械。それら装置を操作するだけではなく図書館にも無かった知識を引き出せる事が出来る装置。更にはそこを訪れた人が休憩できる部屋まで。
そういったものがあの地層にはあるんだ。
そこで僕は知ったんだ。僕の疑問の答えをね。この大陸は自然に出来た場所ではない。見えている太陽や月、星も自然にそう見えているんじゃない。そう見えるように誰かがした。だからそうなったんだって。
何故そうなったか、そうした事についてもある程度は知ることが出来た。でもその内容については僕が説明しないほうがいいかな。此処で自分で知った方が正確だと思うよ。
ここの方が知るのに適した場所だと思うからね」
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