139 合格祝賀会?
順路を辿っていくとそのまま合同教室へと導かれる。
既に十数名が中にいる。
どうやらここが待機室になっているようだ。
席は受験番号で指定されている。
俺の席付近には既に俺以外の1年B級受験者がいた。
「お疲れ。どんな内容だった?」
早速ルドルフに聞かれた。
「俺は3番で、新人冒険者を連れて
俺は装備を外して自在袋に仕舞いながら答える。
「私と同じね。3番は皆同じなのかしら」
そう言えばミリアも3番だった。
「2番もやはり
「私も同じ。2番」
去年ハミィ先輩が出くわしたのはこの設定だろうか。
そんな事を思う。
「1番は模擬戦形式だった。相手は魔法使いでこっちが重大ダメージを受ける前に指定された3カ所に攻撃を当てるという方式」
どうやら通路によって試験形式が決まっている模様だ。
そうなると別の疑問も浮かんでくる。
「これって最初から受験者を何処に行かせるか割り振ってあるのかしら。それとも単に空いた順に入れているだけかしら」
まさに俺が思った事をミリアが口にした。
「わからないなそれは」
「そうだよな。試験担当が発表しない限り」
話している間にも受験者が中へ入ってくる。
学生ではなく現役冒険者風の男女もそこそこいる。
どうやら他にもいくつか試験場があって平行してやっている模様だ。
『そろそろこっちで話した方がいいかしら』
『だな、人が増えて来た』
なんて伝達魔法に切り替えて話をしていると受験者ではなさそうな3人組が中へ入って来た。
持ってきた大きめの箱を置いて、そしてこっちを向く。
「これから結果が出た方に書類を配布します。自分の席についてお待ちください。なお書類を受け取ったら試験は終了となります。退出して結構です。
なお昇級試験に合格した場合、近くの冒険者ギルドの支部や出張所等で冒険者証を書き替える事になります。書き換えの期限はありません。本日は混みますので明日以降の出来るだけ早めの時期に書き換える事をおすすめします」
ふっと周囲に緊張感が走るのがわかる。
3人のうち若い男性が俺達の方へ袋の束を持ってきた。
受験番号順にオルソンから封筒を配り始める。
とりあえず書類は1年生5人の分はあるようだ。
中身はどうなっているかわからないが。
俺も封筒を受け取る。
さっと口だけ開いて中身を確認。
B級への昇級証明書が見えた。
『どうだった』
『当然合格よ。他は』
『簡単だった、だから当然』
『俺も合格だな』
『1年は全員合格か』
昨年と同様、1年組は無事全員合格したようだ。
ただここで派手に喜ぶ訳にもいかない。
2年組は例年合格率が5割以下だし、一般受験者はもっと合格率が低いらしい。
だから合同教室の外へ出て、更に少し歩くまでは無言だ。
「これからどうする?」
「取り敢えず事務室。今日のうちに書きかえられれば気分が楽」
「それもそうだな。見てみて混んでいたら後にすればいいし」
5人でそのまま廊下を歩いて事務室へ。
やはり事務室は混んでいた。
既に試験が終わったC級やD級に合格した学生でごった返している。
C級やD級は昇級すると請け負える依頼がかなり増える。
だから早急に書き換えたいところだろう。
一方C級からB級ならは、少なくとも学生が受ける程度の依頼ではそれほど違いはない。
「今日はやめておいた方が良さそうね」
「だな」
「それじゃまた」
3人と別れて俺とミリアは校門方向へ。
モリさん達やショーン達と待ち合わせをしている。
試験が終わったら書きかえ出来る人はさっさと書きかえた上で集合。
そうミリアが事前に言っておいたのだ。
級によって試験が終わる時間は少しずつ異なる。
そして食堂とか事務室では混んでいるだろう。
だから待ち合わせ場所はいつものいつものカペック平原手前の休憩場所で。
なお事前にミリアの以前から使っていた少しだけ大きめの自在袋をショーンに渡してある。
中は前回調理しまくったハイオークの肉料理やパン、ドリンク等入り。
つまりこれで合格パーティをしようという訳だ。
早足で歩けば学校から北門経由であの場所まで
途中、走査で俺とミリア以外の全員が既に揃っている事を確認。
「どうやら全員合格したようね」
それはどうだろう。
「ライバーあたりは不合格でも飯を食いにくるかもしれない」
「もしそうなら次の試験まで毎日勉強特訓ね」
ミリアは洒落か本気か微妙に判断に困る口調でそんな事を言う。
これはライバー自身の為にも合格していないとまずいな。
一応知識も学力も問題無い程度まで仕上げた筈だ。
だが万が一という事もある。
そんな事を考えながら街道を外れ獣道を辿る。
すでにパーティは始まっているようだ。
匂いがしてきた。
試験時間が違うから、先に来た順に用意して始めてくれと言ってある。
その為に食事の他にフィンの野営道具一式入り自在袋も渡してある。
クーパー達は一応パーティ全員で来る事になっているけれど。
「悪い。先に始めているぜ」
ライバーが焼いたハイオークの肉塊にかじりつきつつ俺達に声をかける。
「どうだった、そっちは」
「当然、全員合格だぜ。D級もC級も。そっちは聞くまでも無いか」
「当然でしょ。2人とも合格よ」
「なら遠慮なく残りの料理も出すんだな」
ショーンが自在袋から料理を追加する。
茶色でとろとろになった皮つき肉がとんでもなく美味しそうだ。
「それじゃ全員合格を祝って再度乾杯しようぜ」
クーパーが俺とミリアにドリンク入りのタンブラーを渡してきた。
ちょいアルコール系の香りがする。
門の外でアルコール、本来はやめた方がいい。
でも今日くらいはいいか。
全員いるし、1杯程度なら。
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