132 私達は知りたい
「あの
まずはネサス先輩が質問する。
「ええ。
広がった
この辺は人が魔法を発動する際の
この辺は前に軽く説明があったなと思う。
「それでは
「この大陸には元々あるべきものをあるべきようにする力が働いています。その中で
ですから
なおここより大きく古い
これが生成されるのは
また階層主を生じようとした際、誤作動が起きる事があります。そうなった場合、
このあたりについては学校の図書館にある本にも載っていません。これ以上知りたければ国立図書館の
なるほど。
だからこの
あったとしても今回は急ぐ攻略だから寄らなかったけれども。
「この鉱石倉庫のような場所、此処は一体何なのでしょうか。どう見ても
これもネサス先輩だ。
「そうですね。この階層そのものは
ここ第28階層の大部分はそれ以外のものとなります。つまり
「ならこの場所は
シャミー教官は軽く頷く。
「ここもそうですし、同じように広い他の階層のいくつかもそうです。たとえばこの
出来たばかりの
つまり元々そういった場所はダンジョン生成以前から存在した。そこに
ちょっと待て。
それならばだ。
「なら元々地面の下にこんな風に鉱石置き場みたいな場所があったり、地上に似たような場所があったりする訳なんですか。他の
ネサス先輩が質問してくれる。
「その辺りの回答は保留します。ただ
これは事実上、その通りと言っているようなものだ。
「ならば私の最後の質問です。あの第15階層と第16階層の間にある地層のように広がった不自然な場所、あれは何なのでしょうか」
「それについてはまず、近くで皆さんに見て頂きましょう」
教官のその台詞が終わるとともに空間が揺れた。
階層移動魔法だ。
出たのは空中、あの大穴の中。
だが落ちる訳ではなく宙に浮いている。
シャミー教官が飛翔魔法を起動しているから。
目の前はちょうど、あの自然と思えない構造だ。
地層とは違い何かがみっちり詰まっている訳ではない。
分厚い金属板と、同じ種類の金属で出来た柱のようなもので構成されている。
柱は縦横ではなく小さい三角形を幾つも組み合わせるような形で上下にある金属板を支えているように見える。
「この構造についてフィンは知っていますね。違いますか」
「ええ。トラス構造と言って、三角形を基本に節点を自由に回転する支点として組んだ構造です」
フィンが俺の知らない単語で説明する。
「その通りです。今では隠されて見えませんが、ラトレの
教官はそこで一度間をおいて、そして続ける。
「今回の討伐任務はこの2パーティの皆に対する問いかけです。此処で体験したものをどう見るか、どう考えるか。それによってどんな結論を出すかという。
ネサスがさきほどした質問、皆さんが感じた疑問に対して私は充分な回答をしません。それはこの大陸が抱える秘密のようなものですから。
この中には答を知っている者もいます。答のごく近くまで到達している者も、またここで感じた疑問の近くまで既に到達している者も。
ですからこの後、ある程度本気になって探せば答は見つかるでしょう。何故このようになっているのか。そしてこの大陸はどういう場所なのかを。
本当は無理して答を求める必要はありません。知らなくてもこの2パーティの皆さんは充分強い。この大陸で冒険者として問題なくやっていけます。
ですからここで見せた事、問いかけた事は私、いや私達のエゴなのでしょう。ですが私達は知りたいのです。答を知った時、皆さん一人一人がどう感じるか、どう思うか、そしてその後どう歩こうと考えるかを。
それでは拠点に戻りましょう」
再び階層移動が起動する。
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