111 フィンの特殊能力
俺達がミリア達の処に到着するまで
だがその時には既に全てが終わっていた。
「見事だな。遠距離攻撃だけで仕留めた訳か」
「俺の出番が無かったぜ」
近接武器で切ったり突いたりした痕跡が無い。
残留魔力から攻撃魔法を使った訳でもないとわかる。
エマとクーパーの特殊弓、フィンの弓だけで倒したようだ。
「今回のは完全にフィンだな。俺っち達の特殊弓はせいぜい勢いを少し抑えた程度だろ」
よく見るとクーパーが言う通りだ。
確かにクーパー達の特殊弓の矢は胸や腹に命中している。
しかしそれだけではオークは止まらない。
いずれ死ぬとしてもある程度は動けるし戦える。
だから近接攻撃に入る前に仕留めたのはフィンの矢だ。
喉から斜めに後頭部方向へと刺さっている。
この矢がオークを一撃で動けなくする場所を貫いているのだろう。
「フィン、何処を狙えばこんな風に一撃で倒せるんだ」
「今回の場合は首の骨の裏側、頭側の部分だよ。麻痺状態の魔獣にとどめをさす時、後頭部に向けて首の後ろから針を刺すなんて方法があるよね。あれと同じかな。
ただ狙える場所じゃないよね。今回はたまたまうまく当たっただけだよ」
本当だろうか。
狙わなければ当たるような場所と角度ではないような気がする。
普通は一番面積が大きくて当たりやすい胸や銅を狙うのだ。
わざわざ細くなっている首部分なんて狙わない。
そんな事を考えながら取り敢えず自在袋に収納する。
「それにしてもはぐれオークか。これだけでいい収入だよな」
「俺は殴り合いたかったぜ」
「馬鹿言わないの。他の人も危険でしょ」
その辺はまあ、ミリアの言う通りだ。
確かに今のライバーなら殴り合いで勝てる可能性も高いけれど。
「それじゃまた別れて討伐よ。まだまだ時間はあるからね」
「今度はぐれオークが出たら殴らせてくれ」
ライバー、よっぽど殴り合いたかった模様。
「もう出ないわよ。差し当たって
確かに感知できる範囲にいる大きめの奴というとそれくらいだ。
「せめて
「贅沢言わないの」
「なら次はこの先100
クーパーも感知できている模様。
「なら私達はこっちへ行きましょう」
ケイトの指示でミリア達とは違う方向へ歩き始める。
◇◇◇
約2時間後。
「魔獣が増えているというのは本当みたいだな。今まで知らなかったこんな穴場にこれだけ魔獣がいるなんてよ」
「ゴブリンも多かったですけれどね」
確かにクーパーやケイトの言う通りだ。
「次にオークが出たら俺にやらせてくれよ」
「思った以上に薬草が豊富でした。一般的なものは確かに取られていましたが他には少ないものが結構あります。また来たいです」
こういう独自の感想を持つ方も当然いる。
勿論ライバーとエマだ。
さて、俺は気になった事をフィンに尋ねてみる。
念のため他には聞こえないよう、最後尾で小声で。
「フィン、ちょっと聞いていいか?」
「何かな?」
『あのオーク、本当はあの場所を狙ったんだろう、狙えるか、狙って当たったらどうなるか、全てわかった上で』
念のため個別モードの伝達魔法を使って尋ねる。
『やっぱりわかったかな。まあハンスとミリアにはバレると思ったけれどね』
フィンはあっさりと肯定した。
なら次の質問だ。
『何処を狙えば倒せるかわかる
『実は元から近い
聞いたことがない
そもそも機構という単語を聞くのも初めてだし。
『その
『まあそうかな。本当は少し違うんだけれどね。
さっきのオークの場合、まず身体の各部にどういう器官があって、どんな役割をしているかがこの
次に弓を構えて
難しいというかかなりややこしい。
だがフィンの今の台詞で何となくわかった事がある。
『ならクーパー達の特殊弓もその
『近いけれどやっぱり微妙に違うかな。
あの特殊弓は試作をしては
何となくわかった。
あくまで何となく、だけれども。
『ただ
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