99 職業変更の結果
フィンに続いてアンジェ、モリさん、ライバーと
なおアンジェとモリさんは自分で起きてきたがライバーは睡眠魔法と関係なく熟睡していたので魔法でたたき起こした。
4人ともかけ終わったらあとは証拠隠滅作業。
魔法陣を消して土をひっくり返し、他から表面の草ごと持ってきた土をかぶせる。
さらに魔力中和をかければほぼ痕跡は消える。
「これだけやれば気付かれないよね」
「おそらく。これでも気付くような奴には気付かれても問題ないだろう」
俺の脳裏にあるのはシャミー教官とアルストム先輩だ。
あの2人の実力は俺にもわからない。
俺より上だと言われても納得できる。
あの2人がどういう立場なのか。
どうやってそれだけの能力を身につけたのか。
それは分からない。
それでも何処かで信頼していいと感じるのだ。
ただの俺の勘だけれど。
さて、
1時間もしないうちに皆さん魔力が安定してきた。
「そろそろ起こしてもいいわね」
「だな。夕食の時間もある」
今度はライバーも素直に起きてきた。
「帰るわよ。夕食にまにあわなくなるわ」
「すげえぜ。力が有り余っている感じだぜ」
「はいはい。その辺は歩きながら聞くわ」
天幕を撤収。
街に向かって歩き始める。
「ライバーは結局
「当然だろ。これなら何も考えないで目の前の敵を倒せばいいんだしよ」
少しは考えるようにしてくれと言いたい。
でもその辺はまあ、個人のスタイルという面もある。
だからその分他のパーティメンバーに考えてもらうしかない。
まあモリさんやフィンと組んでいれば問題は無いけれど。
「職業が変わると使える魔法も増えるのね。水属性の魔法や土属性の魔法も使えるようになっているの」
「確かに属性も使える魔法も増えるけれどね。前に得意だった属性はその分強化されているし、前に不得意だった属性は最低限の状態の筈よ。そこからは訓練や実戦経験をふまないと伸びないからね」
そうそう。
俺も魔導士になった当初は惨憺たる有様だった。
魔導士の癖に使用可能なのは基本属性の初級魔法のみ。
以前は獣人で身体強化以外の魔法が使えなかったから仕方ない。
でもまあ、適性が増えれば訓練が出来る。
訓練し使用経験を積めば上級の魔法も使えるようになるのだ。
アンジェもその辺は頑張って欲しい。
前衛特化にならないで。
「どの能力も上がっているけれどさ。それより知識がかなり増えたのがありがたいかなあ。物を見ただけで性質や特徴がわかるようにもなったし」
「判別スキルは戦闘にも商売にも何かと便利みたいよ。冒険者だと罠を見破ったり魔物の弱点を見破ったりするのにも使えるしね」
モリさんは
自動的に判別スキルがつくというのは
俺もミリアの解説書でその事を知ったのだけれども。
「僕もモリさんと似たような感じかな。全体能力の向上と知識、判別スキルと工作系の魔法強化って感じだね」
これはフィンだ。
台詞からすると
だがおそらく違うだろう。
『モリさんと同じ』ではなく『似たような感じ』だから。
フィンはどんな職業を選んだのだろう。
だがそれがどういう職業なのか俺は知らない。
後で部屋に帰ったらもう一度買った本を読んで確かめようと思う。
「もう4人とも、入学当初の私と同じくらいの力はあるんだからね。その辺の意識はちゃんと持ってよ」
「当時のミリアと同じか。悪いが想像できねえ」
ライバーが苦笑しながらそんな事を言う。
「力だけならもうライバーの方が強い筈よ。今の私と比べても」
「うーん、実感ねえなあ。永遠にミリアとハンスには勝てない気がする。ドワーフの里でやった腕相撲でも結局勝てなかったしさ」
確かにあの時はそうだった。
でも今、レベルアップし
「此処へ来た当初の私は、きっと今のアンジェと同じくらいのステータスだった筈だからね」
ミリアの言う事は多分事実だ。
装備もミリアは当時から高級だったが、今のアンジェはフィン製作の特製装備を使っている。
だからその面でも差はほとんどない筈。
「確かにライバーの言う通りよね。当時のミリアでも今の私と同じ強さだなんて想像できないかな」
それでもアンジェがそう言う理由も感覚的に解る。
やっぱりお互いの関係の歴史というかこれまでの経緯とかがあるのだろう。
「それにしても明日の午後が楽しみだぜ。出てこい
おいおいライバー。
「こっちは人間なんだから、ちゃんと頭と装備を使って戦いなさいよ」
「止めてくれるなミリア。男には時にやらねばならない事がある」
「魔獣や魔物と力比べがそうだとは私も思えないな」
「いや、純粋腕力で魔物や魔獣に勝利する。これぞ男の浪漫だぜ」
微妙に酔っているライバーと呆れ顔の他の皆さん。
何だかなあ。
ライバー、変な方向へ進化していないだろうか。
いや、元々か。
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