前のエピソード――雨と傘

　しつこいようですが、私は「汚れ」の付いているものには触れられない症状を持っています。

　これは逆説的に言えば、「汚れ」が付くものには触れられないということです。

　詳細にいうと、これは掃除用具には触れないということになります。

　詳しく見て行きましょう。

　掃除用具と一言にいっても、様々なものがあることでしょう。床を掃くほうきや、雑巾、食器を洗ったり風呂掃除に使うスポンジ、トイレの掃除用具などあります。これらのうち、私は主に手で触れるものが触れないということになります。

　具体的には、物理的に汚れが蓄積する雑巾、全般的に汚いと感じるトイレの掃除用具に触ることが難しいのです。

　ここで難しいと言っているのは、対策を講じれば触ることが可能ということです。その対策というのが、ゴム手袋の装着というものです。

　ゴム手袋をしていれば、なんでもいいというわけではありませんが、素手の時よりかは活動範囲は拡大しています。

　なら、常にゴム手袋をしていればいいのではと思うことがあるでしょう。一時期はそのような時もありました。

　しかし、現在ではゴム手袋をはめて生活はしていません。

　それは周囲から奇怪な目で見られるというのと、単純にゴム手袋が入手しずらくなったという理由があります。

　確かにゴム手袋をしていれば、手荒れがなくすっきりとしたことになります。しかし私の場合、ゴム手袋に「汚れ」が付着した場合、取り替えるということをします。それは掃除をした時や、以前はトイレで大便をする時などに用いてました。大便をするたびにゴム手袋を替えるのは些か不合理と言いますか、手間がかかります。そしてその分手袋を消費することになるのです。

　私の症状の緩和は、「汚れ」に対して寛容になることと言われています。そのためには、ゴム手袋を使用しないようにする必要があるのです。

　さて、少し話が脱線しましたが、私は日頃の家事の手伝いの一環として、風呂掃除をしています。

　単純に浴槽と床の掃除をしているのですが、この時はゴム手袋を使用していません。

　スポンジが「汚れ」の温床になっていることは間違いないのですが、この場合、風呂という特殊な環境がそうさせるのか、日常的な掃除では気になりません。

　しかし、風呂に発生したカビの掃除などに関しては、ゴム手袋を使用します。根本的に「汚れ」の具合が違うからですかね？

　そして、掃除の直後は全身を洗うために風呂に入ります。そのため、私の掃除は夕方から夜にかけて行われるのです。