第三章黒霊集

夢魔むまの森


黒霊名:浮き腰夢魔

保有霊刻印:『魔法・幻覚LV3』『魔法・睡眠LV3』『吸精LV4』『隠密LV3』

 醜悪な姿をした悪魔。高い知性、狡猾な性格を最大限に活かした戦法が得意。森の侵入者に対して物陰から幻覚・睡眠魔法を使って森の奥へ奥へと誘い込み、他の黒霊に対象を攻撃させる。対象が瀕死状態になると漸く姿を現すようになり、言葉にするのも臆するような方法で精力を奪うと噂されるが、実際にその場面を目にして生還した者はいない。


黒霊名:取繕う巨木

保有霊刻印:『擬態・樹LV3』『再生LV4』『耐性・土LV4』

 森の木々に擬態する巨木型の黒霊。獲物が一定範囲まで接近しない限り、ピクリとも動く事がない。但し敵から攻撃された場合は別で、そうなると擬態なんて知った事かというほど怒り狂い、どこまでも追って来る。撃退するにも高い再生力を持つ為、生半可な攻撃では耐久力を削る事はできないだろう。別に炎が弱点という訳でもなく、大変な見た目詐欺。



寂寞放牧地せきばくほうぼくち


黒霊名:激動の巨馬

保有霊刻印:『瞬発LV2』『体力LV2』

 寂寞放牧地せきばくほうぼくちの西部を住処とする巨大な馬。草食である筈だが、動くをものを目にすると肉食動物の如く狩りを開始する。馬であるが故に当然足は速く、性格は獰猛そのもの。間違って彼らの住処に迷い込んでしまった新米の探索者は、如何にして隠れ通すかが生き残る鍵となるだろう。幸いにも鼻はそこまで良くないようだ。


黒霊名:錯乱の暴牛

保有霊刻印:『瞬発LV2』『混乱LV2』

 激動の巨馬と同じく、エリア西部に住処を置く暴れ牛。彼らに理性というものはなく、相手が格上だろうと玉砕覚悟で戦いを挑む。というよりも、探索者と黒霊、果ては同種族の見分けもつかないらしく、それが生物であれば取り敢えず戦闘を開始しようとする。それでいて激動の巨馬と同じくらいの力を持つ為、誰にとってもかなり迷惑な黒霊と言えるだろう。


黒霊名:大斧の牛鬼

保有霊刻印:『斧術LV3』『憤怒LV2』『肉鎧LV1』

 牛の顔を持つ大柄な鬼。巨大な斧を得物として持ち、自慢の怪力で敵を粉砕する。縄張り意識が強く、意外にも頭も良い模様。同じ牛鬼と協力して探索者を追い詰めようとする。パワーだけでなく、武器を操る確かな技術も併せ持つ為、並の実力では対抗する事ができないだろう。『憤怒』は攻撃力を上げ、代わりに防御力を下げる特性を持つ霊刻印であるが、『肉鎧』により物理防御力を補強している為、実質的には力だけが上がっている状態にある。


黒霊名:金棒の牛鬼

保有霊刻印:『棒術LV3』『憤怒LV2』『肉鎧LV1』

 牛の顔を持つ大柄な鬼。巨大な金棒を得物として持ち、以下同文。


黒霊名:大剣の牛鬼

保有霊刻印:『剣術LV3』『憤怒LV2』『肉鎧LV1』

 牛の顔を持つ大柄な鬼。巨大な剣を得物として持ち、以下同文。



双生の画廊そうせいのがろう


黒霊名:風雅の石像

保有霊刻印:『舞踏LV2』『瞬発LV1』

 芸術的な形状をしている動く石像。個体によって大きく形状が異なり、ひとつとして同じ形をしたものがない。石像故に動きは鈍いが、全身を使って不思議な踊り(?)をかまし、探索者が唖然としているところにタックルをかます外道。但し、攻撃手段はそれくらいしか存在していない為、慣れると楽に処理できる。


黒霊名:浮遊する額縁

保有霊刻印:『浮遊LV2』『魔法・停滞LV1』

 クルクルと額縁を回しながら浮遊する絵画。個体によって描かれる絵が異なり、ひとつとして同じ絵がない。エリアに奇抜な動く絵画が多く存在している為、この黒霊も同一のものだと勘違いしやすい。対象を身動きできなくしてしまう恐ろしい魔法を使うが、命中率に難あり。また、炎に極端なまでに弱く、威力にかかわらず当たれば一撃で沈む。


黒霊名:無形なる思想

保有霊刻印:『浮遊LV1』『思考LV2』

 丸に四角、三角と様々な形をしたブロックの集合体。探索者が近づいたからといって何をする訳でもなく、終始その場でブロックを浮遊させている。密かに見えない電波を飛ばしていると考える探索者もいたが、実のところ本当に何も仕掛けて来ていない。微々たる可能性ではあるが、周囲の黒霊の司令塔として機能しているのかもしれない。


黒霊名:鋼索の暗殺者

保有霊刻印:『隠密LV3』『空蹴LV3』『格闘LV3』『擬態・壁LV3』

 ワイヤーで押し固めて人型を形成した希少種。隠密状態+擬態からの奇襲と、その動きは完全に暗殺者のそれである。真っ正面から戦っても非常に手強く、宙を蹴っての移動が可能、手数が恐ろしく速いと、数々の試練を越えて来た探索者でも苦戦する実力を秘めている。かつてこのエリアで死した探索者の成れの果て、なのかもしれない。


黒霊名:包容する守護者

保有霊刻印:『再生LV4』『肉鎧LV4』『擬態・壁LV2』『束縛LV3』

 鉄の処女を模した頭部、漆黒の肉体を持つ希少種。耐久性・再生力が恐ろしく高く、正攻法ではダメージを与える事自体が困難。それ以外の能力も全体的に高く、一撃で敵を屠るパワー、一息で敵に迫るほどのスピードを併せ持つ。唯一の弱点は頭部にある拷問器具の内部であるが、そこに囚われると自力で抜け出すのはまず不可能である為、弱点を攻めるにしても危険が伴う。片言で喋る程度の知能はあるようだが、会話は殆ど成立しない。


大黒霊名:薄氷の刃(LV3)

保有霊刻印:『剣術LV4』『飛剣LV5』『修繕LV5』『魔法・氷剣LV5』『耐性・氷LV3』

 双生の画廊そうせいのがろうに巣を構える騎士鎧の大黒霊。とある探索者が持っていた魔具の強過ぎる自我が、大黒霊としての彼を誕生させた。得物となる剣と共に全てが氷で形成されている。騎士鎧は氷でできているとは思えないほどに強固な護りを誇っており、包容する守護者以上にダメージを与えるのに苦労するだろう。しかしながら、実のところ本体は氷の剣。こちらの耐久性は正に薄氷の名に相応しく、どんな攻撃も確実にダメージが通るほどに脆い。大黒霊が剣の刃を傷付けないように行動している事を、逸早く見抜けるかどうかが攻略の鍵となる。大黒霊のレベルが上がると、その度に騎士鎧の持つ剣の本数が増えていき、魔法による攻撃方法も多彩になっていく。ちなみに巣に探索者が侵入すると、その者をベクトと錯覚して発狂、逃れられない戦いとなる。

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