第68話 お土産沢山
◎本日の成果◎
討伐黒霊
亡国の白骨兵士×2体(剣術LV1、耐性・死LV1)
亡国の屍兵士×3体(感染LV1、剣術LV1)
彷徨う亡霊×1体(霊体LV1、憑依LV1)
死病の運搬者×22体(感染LV1)
死病毒の運搬者×14体(感染LV1、猛毒LV1)
死病不随の運搬者×11体(感染LV1、麻痺LV1)
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魔剣ダリウス
耐久値:40/40
威力 :31(+1)
頑強 :41(+2)[+14]
魔力 :19(+1)
魔防 :20(+1)
速度 :32(+2)[+3]
幸運 :27(+2)[+3]
霊刻印
◇剣術LV2
◇感染LV3
◇統率・屍LV2
◇格納・屍LV3
探索者装備
体 :紺青の皮鎧
足 :紺青の洋袴
靴 :紺青の履物
装飾 :
装飾 :司教の首飾
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「倒した黒霊の数の割に、成長値が微妙だなー」
「まあ、格下の黒霊ばかりじゃったし、この辺りが妥当じゃろうて」
「そうだけどさぁ……」
帰還後、いつもの成果報告を酒場で実施。ホワイトとの激戦を経ての成果がこれなので、頭では理解していても、少しだけ残念な気持ちになってしまう。まあ、その代わりにホワイトという頼りになる仲間が加入してくれた訳だが。
「何とかの運搬者ってのは、あの下水道のネズミの事だよな? どいつもこいつも殆ど同じ見た目だった癖に、こんなに違う種類が居たのか。何か『感染』以外にも色々とやばいもんを持ってるし」
「実力的に余裕がない時に来ていたら、手痛い洗礼を受けていたかもしれんな。それよりも、相棒」
「ああ、分かってるよ。キンちゃ――― キングさん、ちょっと良いですか?」
「良いように見えるか?」
「はーい、キンちゃんご飯だよー」
「こ、今回は私が調理してみました。御口に合うと良いのですが」
「うむ、苦しゅうない」
残念、キンちゃんはご飯の時間だったようだ。キンちゃん専用皿に盛られた焼きササミを、むっしゃむっしゃと召し上がっておられる。キンちゃんの食事風景は、ただ見ていているだけでも癒されるものである。決まってアリーシャやイレーネが、間近で観賞をしているくらいだ。オルカが聞いたら、泣くほどに羨ましがるだろうな。まあ、ただ毛糸玉を見せるだけだし、このまま見てもらおうか。
「いえ、大した事ではないので、そのままで結構です。これなんですが」
ダリウスの収納機能より毛糸玉を取り出し、ご飯に夢中なキンちゃんの前にスッと差し出す。
「だから、余は今忙しいとっふぅぅぅにゃあああぁぁぁ~~~!」
毛糸玉を目にした途端、キンちゃんは突貫した。口の周りに食べ残しのお弁当を付けたまま、夢中になって毛糸玉を転がし始めたのだ。その姿に最早威厳はなく、ただただ可愛いデブ猫ちゃんと化している。
「「可愛いッ!」」
そんな姿のキンちゃんに、アリーシャとイレーネも大喜びである。オルカ基準で表すと、多分悶絶して気絶するレベル。
「今回の供物、気に入ってくださったようですね。何よりです」
「ハッ!? ……う、うむ、まあまあ良きものであるぞ。褒めて遣わす。新たに霊刻印の保管枠を、二つ追加してやろう。これで全部で六枠であるな。これからも精進するように」
「ありがたき幸せ」
俺達に生温かい目で見守られていた事に気づき、威厳を取り戻そうと姿勢を正すキンちゃん。しかし、その手は未だ毛糸玉に向かっており。己の欲求に忠実なキンちゃんなのであった。
「ゼラ、今回手に入れた『猛毒』と『麻痺』をキンちゃんに!」
「了解です。キング、行きますよ! はっ! ほっ!」
「お、おい! 急に振られても困ハグッ! ハングゥッ!」
「キンちゃん、上手上手!」
「わあ、とっても芸達者なんですね。わ、私もやってみたいかも」
まあ、頑張って立て直した威厳も、霊刻印保管時の餌やりで台無しになってしまうのだが。そこも含めてキンちゃんの愛嬌なのだ。
「ゼラ、次はこの盾を見てくれないか? さっきの毛糸玉と一緒に見つけてさ」
「あら、今回は発見物が沢山ですね。少々お待ちを」
フリスビーとしてホワイトの玩具になっていたボロ盾であるが、オルカに修繕してもらった後は、立派な丸盾として生まれ変わった。個人的には結構期待しているんだけど…… さて、どんな結果になるだろうか?
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円盤の盾(腕装備)
頑強 :+4
魔防 :+4
効果 :投擲するとよく飛ぶ。上手く飛ばすと、不思議な力で戻って来る。
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「……不思議な力って何!?」
い、いや、性能的には全く文句ないんだけど、最後の効果の説明欄がおかしい! 確かにボロ盾の段階でよく飛んだし、だからこそフリスビーとして使っていたんだけど……!
「ちなみにこちらの盾、威力が20以上なければ装備できないようです」
「ふむ、盾で片手が塞がる分、片手でワシを扱う必要があるからか。今の相棒であれば余裕じゃろうて。早速装備じゃ!」
「なあ、もっとツッコミを入れるべきところがあるんじゃないか?」
なんてこった! この盾、フリスビーじゃなくてブーメランだったのか!? とかさ。
「相棒、今更そんな事を気にしていても仕方ないじゃろう? それより、まだ見せるもんがあるじゃろうて」
「心の中でのツッコミくらい、自由にさせてくれよ……」
そう愚痴りつつも、ダリウスの収納より例のブツを取り出――― いや、ここで出すと不味いか。ダリウス曰く堆肥であるらしい大量の肥料、剥き出しの状態で収納したから、出した瞬間に悲惨な事になる。具体的には、仮家主のサンドラに殺される。
「ここでは出せないから、畑に移動しよう。ゼラ、レッツスタンドアップ」
「えー」
「えーじゃなくて。アリーシャとイレーネも一緒に来てくれないか? 畑に関わる事だからさ」
「畑に? うん、分かった!」
「ご一緒します。キング様はどうします?」
「ハァ、ハァ……! 余、休憩必須……!」
「そ、そうですか。ゆっくりしていてください」
ゼラを酒場の指定席から何とか立たせ、キンちゃん以外の皆と共に教会裏の畑へと向かう。目と鼻の先の距離なので、到着するのは一瞬だ。
「あれ、サンドラ? 姿が見えないと思ったら、こんなところに居たのか」
畑で何やらガサゴソしているサンドラを発見。
「んー? ああ、ベクトに皆。それがさー、ここの野菜を使っての料理に行き詰っててさー。味の良さそうなものがないか探していたんだけど、どれを収穫しても品質は同じでさー。アリーシャも頑張ってくれているんだけど、ほら、こういうのって畑を改良しても、直ぐには効果が出ないものでしょ? やっぱり調理方面で工夫するしかないかなーって、色々考えていたんだ」
「そういう事なら、丁度良い土産があるぞ」
「えっ?」
まあ、これも即効で効果があるものではないと思うけど。と、そんな事を考えながら、畑の目の前に堆肥を取り出す。そしてゼラに鑑定を依頼。とはいえ堆肥は堆肥なんで、使い方は決まって―――
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農神の堆肥(消耗品)
効果 :畑に類する土地のレベルを3上げる。
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―――い、る……? ん、んんっ? 土地、レベル……?
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