七九 怨霊から神様へ 平将門~後編~

【悪政から人々を救うヒーローになる!】 

 前回お話したように、当時の藤原氏に牛耳られている朝廷は腐敗していました。

 そんな状態の朝廷が派遣してくる国司は横暴な人が多く、やりたい放題して、重税に人々は苦しめられている状況だったのです。

 そんな中、玄明はるあきという人物が、常陸国ひたちのくに(茨城県)から将門の所に逃げてきました。


玄明「将門、助けて! 税金払わなかったら国に追われたよ」

将門「そりゃ、脱税したら捕まるだろ」

玄明「でも、税金払わない代わりに、苦しんでる人々にお米やお金をわけていたんだよ!」

将門「なに! それならば俺が守ってやる!」


常陸国の偉い人「玄明を明け渡せ!」

将門「だが断るッ!」


 こうして、将門VS常陸国軍の戦いが始まりました。常陸国軍は将門軍よりも3倍近い兵士がいましたが、将門は実力がある人物なので勝利。

 

 将門に常陸国を奪われたところで、朝廷に電流が走ります。


 というのも、朝廷は関東の方で将門が、戦を起こしている事は知っていました。しかし……

朝廷「どうせ、女がらみとか、領地とかをめぐる小競り合いでしょ。放っておこう」

 朝廷は将門を重要視していなかったのですが、国を盗られたので事の重大さに気づきました。


 一方、将門は関東地方の国々をどんどん奪っていき、勢力を拡大させていきます。

民衆「将門様はぁ、オラ達を救ってくれだぁ」

 このように朝廷の悪政に苦しんでいた民衆から、絶大な支持を得ていました。


将門「民衆を苦しめる朝廷は許せん! 俺が新たな天皇、新皇になる!」

 こうして将門は自らを新皇を名乗り、クーデターを起こしたのです。


 一方、将門のクーデターを知った朝廷は将門討伐の為に出陣します。

 

 将門VS朝廷の戦いですが、将門の頭に矢が刺さって死亡し、新皇になる事はできなかったのです。



【日本三大怨霊になる】

 こうして無念の死をとげた将門ですが、その首は平安京に運ばれてさらし首の刑されました。

 しかし何ヵ月経っても、首は腐らず、まるで生きているかのように目は見開き、夜になると「胴体を持って来い! 首をつないでもう一戦しよう」と叫び続けていたそうです。


 そんなある日、将門の首はケタケタと笑いながら、関東の方角へ飛んで行き、着いた場所が平将門の首塚だと言われています。


 時が流れて14世紀にると疫病が流行しました。これを人々は平将門の祟りだと言いました。

 そして首塚の近くにある神田明神にて、平将門の供養を行われました。


 さて神田明神は元々、大国主神と少名彦那神を祭る神社でしたが、平将門を供養して以降は、平将門も神様として迎え入れ、日本古来の神々と共に祭られています。



【参拝要注意!? 今なお残る伝説】

 さて、平将門の首が飛んで行ったという話は恐ろしいですが、将門の知り合いが首を桶に納め関東に運んだ、というのが本当らしいです。

 そして、首塚の近くにある東京千代田区の築土神社つくどじんじゃにて平将門を供養しました。

 

 以前は将門の頭蓋骨や首を運んだ桶が安置されていたそうなのですが、空襲によって焼失したそうです。


 神田明神、築土神社はどちらも平将門を神様として祭り、そのご利益は『勝負運』です。

 築土神社は日本武道館の守り神でもあり、武道を志す方々から信仰されているそうです。

 非常に強いご利益があるそうなのですが、注意する事がひとつあります。


 平将門が乱を起こした時、成田山新勝寺なりたさんしんしょうじにて、朝廷がクーデター鎮圧の祈祷をしたそうです。

 その為、神田明神、築土神社を崇敬する者が、成田山新勝寺を参拝すると災いが起こると言われています。

 また、平将門の子孫や、神田明神、築土神社の氏子さんは成田山新勝寺へ参拝することは、控えているそうです。 


 信じるか信じないかは貴方次第ですが、平将門由来の神社を参拝する時には、注意が必要です。


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