七四 猿から神へ! 異例の大出世をした豊臣秀吉~後編~

【いよいよ天下統一へ しかし世継ぎがいない!】

 こうして秀吉は地位を固めて関白に就任し、天下統一を果たしました。さて、関白と征夷大将軍ってなにが違うのでしょうか?


 征夷大将軍は武士のトップであり、関白は貴族のトップです。


 秀吉は源家の家系ではないので、征夷大将軍になれないから関白の地位に就いたと言われています(また、足利義昭が存命していたうえ、将軍職を返上していなかったから、枠がなく関白になったという説もあります)。


 こうして秀吉は天皇から『豊臣』の名字をもらい、天下人『豊臣秀吉』となるのです。

 村人Aが王になるような異例の大出世、様々な苦難を乗り越え、国を治めた豊臣秀吉。

 

 天下統一を果たしたので、日本にはもう争いはいりません! そうなるはずでしたが、秀吉には最大の弱点がありました。


子供がいなかったのです。 


 しかしハーレムの一人、淀殿が唯一、秀吉の子供である豊臣秀頼とよとみひでよりを生みますが、これは極めて不自然なんですね。


 秀吉には足軽時代から嫁がいましたが、なかなか子供が生まれませんでした。

 また秀吉はエロかったので浮気しまくましたが、秀吉の子供を宿した人はいません。

 天下統一した後ハーレムをつくり、たくさんの女性とズッコン、バッコンするのですが、やっぱり子供が出来ません。

 つまり秀吉の生殖能力に問題があったと思われ、淀殿の懐妊は不自然なのです。


 さて、たくさんいる秀吉のハーレムの中で、淀殿だけが、ある『謎の儀式』の後、懐妊します。

 そして第一子である『鶴松』、そして再び行われた『謎の儀式』の後、第二子の秀頼を生んでます。

 さて、この『謎の儀式』とは、なんなんでしょうか?


 端的に言うと乱交パーティーだったと言われています。


『子供を授かる儀式』と称して、複数人の男を呼んでお城のお堂に呼んで、合体するわけです。

 しかし、何故複数人と合体したのでしょうか? 


 それは後のトラブルを回避するためです。


 男が一人だと父親が特定されてしまい、「秀頼の本当の父は俺だから、秀吉の跡を継ぐ権利はある!」などの問題が発生する可能性があります。

 それを回避するため、複数人の男性と合体して、本当の父親を曖昧にする必要があったのです。


 こうして、淀殿は『謎の儀式』によって表向きは秀吉の子供、鶴松を産みましたが、幼くして死亡してしまいます。


 淀殿は秀吉が朝鮮半島へ出兵して、お城を留守にしている間。


淀殿「また、あの儀式、しちゃおうかな。ウフフ」

 このように淀殿もエロかったので、『第2回目、謎の儀式』を行いました。そして秀頼が生まれ、秀吉の跡継ぎになります。



豊国乃大明神とよくにのだいみょうじんになる】

 二度目の朝鮮出兵を行っている最中、秀吉は突如、病死してしまいます。

 ちょうど外国を侵略している最中でもあったので、中国の使者によって毒殺された、という説もありますが真相はわかりません。


 秀吉は死ぬ直前「俺が死んだら……新八幡神として、祭ってくれ」と、遺言をのこしていました。


 そして、秀吉の死後、彼を祭る神社が建てられるのですが……


天皇「うーん、八幡神か……応神天皇だしな」

 このように八幡神は皇室の祖先の神様なので、農民出身の秀吉を八幡神として祭るのは渋ったのです。

 しかし秀吉は天下人、天皇も無下に扱う事はできず『豊国乃大明神とよくにのだいみょうじん』という神業を授け、豊国神社と命名されたのです。


 さて、豊国神社が大変なのはこと後です。


 まず“表向きは”、秀吉の息子である秀頼が、わずか6歳で父の後を継ぎました。

 しかしトップを失った豊臣政権は弱り、内部抗争が起きます。


 これがきっかけとなり『関ヶ原の戦い』が起き、徳川家康が勝利します。

 そして家康が征夷大将軍となり、江戸幕府ができるわけです。


 そして1615年に起きた豊臣家と徳川家の争いである、『大阪夏の陣』によって豊臣軍は負け、秀頼は死亡。豊臣家は滅亡します。


 そして秀吉を祭っている豊国神社ですが、家康によって神社が廃絶させられてしまいます。

 家康にとって秀吉は苦汁を舐めさせられた相手であり、豊臣家は政権を奪われかねない驚異だったので、徹底的に潰したかったのでしょう。


 一応、社殿は残りましたが、放置され荒れていきます。


 さて、長く放置されていた豊国神社ですが、1662年に京都で地震が起きた時、豊国神社の周辺は被害が少なく、『地震よけ』の神様として、庶民の間で信仰が復活します。


 そして徳川の時代が終わった明治時代、明治天皇が豊国神社を再興させる命令を出しました。


 こうして、豊国神社と豊国乃大明神は、一度家康に潰されたものの、長い時を経て復活するのです。



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