七十 魔王から神様になった!? 織田信長~中編~

【柔軟な経済政策をして魔王となる】

 信長の躍進には室町幕府15代目将軍、足利義昭あしかがよしあきが関わっています


「え!? 戦国時代って、将軍いたの?」と思いますが、これがいたんですよ。と言っても、足利政権はほぼ壊滅状態でした。


 信長は足利義昭と共に近畿地方の敵軍を倒し、京都にはいりました。そして、足利義昭は天皇から15代目将軍に任命され、信長は副将軍となりました。

 なんと戦国時代の終わりに一回、室町幕府が復活していたんですね。


 さて、これはただ単に室町幕府が復活した、という訳ではなく、近畿地方を治めたという事は、信長にとって大変有利に働きました。

 なぜなら貿易港である大阪、堺の街を治める事が出来たからです。


 信長は積極的に外国と交易して、武器や火薬を仕入れて軍備強化していったのです。

 また物流をよくして経済の活性化を図るため、関所を廃止ししました。


 何故関所を廃止したのかというと、関所は高速道路の料金所みたいなものでした。つまり通行料を無料にしたのです。

 もし高速道路が無料になれば、誰でも嬉しいし、たくさん利用しますよね。

 さらに、『地子銭じしせん』という、今で言うところの固定資産税を免除しました。


 このように減税政策も行います。その結果……


商人「あれ? 関所(料金所)がなくなってる。信長さん! この道、タダで通っていいんすか!?」

信長「無料だ! 好きに通るがいい! フハハハハハ!」

商人「え、しかも、固定資産税払わなくていいんですか?」

信長「かまわん! かまわん! フハハハハハハ!」

商人「やったー! よーし、どんどん商品を仕入れて、たくさん売るぞ!」


 こんな感じで、経済は活性化して、信長は軍資金が得られるのです。この政策を行った戦国武将は、信長だけだったと言われています。


 こうして信長の支持率は商人、町人からどんどん上がっていきます。一方で仏教寺院から嫌われていきます。

 と言うのも金融、経済を握っていたのはお寺でした。関所の通行料や固定資産税はお寺の財源だったので、お坊さんは信長の政策が面白くなかったのです。


お寺「信長は仏法の敵だ! (おこずかいが、無くなったじゃないか)←本音」

 こんな感じでお寺からの反発が強まっていき、本願寺というお寺が信長に対して反乱を起こしたのです。信長の敵は戦国武将だけでなく、お寺とも戦っていたんですね。


信長「うるさい! 言う事を聞かない奴はギッタギタにするぞ!」

 信長は反乱を起こした本願寺と戦い、反乱を鎮圧し、お寺そのものを潰してしまいました。


 また、信長の有名なエピソードに『比叡山延暦寺ひえいざんえんりゃくじの焼き討ち』があります。

 信長はお寺に攻撃を仕掛け、仏像や神仏殿を焼き付くし、人々を次々と殺害しました。比叡山には数千の死体が転がっていたそうです。


 なぜこのような残虐な行為に及んだのかと言うと、比叡山が敵軍を匿っていた事と、先程お話したように、お寺が金融、経済を握るほど権力をもっていたので、延暦寺は腐敗していました。

 お肉を食べちゃいけないのに、お肉を食べていたり、女人禁制なのに女性を連れ込んでエロい事をしていたりと、仏門の道から外れていました。


 表向きは厳かなお寺でしたが、延暦寺内はやりたい放題、お肉食べ放題、おっぱいモミ放題とメチャクチャな状態でした。

 そこへ敵軍を匿った事で信長の怒りが爆発し、延暦寺を容赦なく叩き潰したと言われています。


 こうして、天罰を恐れない所業から人々から恐れられ『第六天魔王』という異名がつきました。

『天魔』というのは仏の道を邪魔して、人の心を惑わす悪魔の事です。


 延暦寺を焼き付くした後、信長の敵でもあり熱心な仏教徒だった武田信玄は、信長を非難する手紙を送りました。

『我こそは仏法を守る天台座主沙門てんだいざすしゃもんだ。仏の名において成敗してやる by武田信玄』


 この手紙に対して信長は

『俺は第六天魔王だぞ! 倒せるものなら倒してみろ! フハハハハハ! By織田信長』

 

 こうして見ると武田信玄=勇者、織田信長=魔王という構図がわかりますねw


“信長は自ら魔王を自称した”という逸話が残っていますが、売り言葉に対しての買い言葉だったんですね。


 さて、勇者(武田軍)と魔王(織田軍)の戦いですが、三方ヶ原の戦いにて一度は勇者に敗れたものの、最終的には鉄砲三段撃ちで有名な長篠の戦いにて、魔王が勝利します。




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