六三 邪法を司る神様!? 飯綱権現

 飯綱権現いずなごんげんは、長野県にある飯綱山の山岳信仰から誕生した神様です。


 飯綱山の名前の由来が面白く、山頂から食べられる砂である『飯砂いいずな』がとれたからだとか。


 もしかしらた、アポロやチョコボール、パチパチパニックがたくさん落ちていたのかもしれませんw


 冗談はさておき、この飯砂の正体は菌の集合体で、修験道の修行者達はこれを食べていたそうです。

 私は食べるのが好きなので、珍しいものは何でも食べてみるタイプですが、飯砂はお腹が痛くなりそうなので、口に入れるのは怖いですね。昔の人は胃が丈夫だったのでしょうか?


 さて、飯綱権現は武田信玄や上杉謙信など、有名な戦国武将によって信仰されていました。また忍者からも信仰を集め、飯綱権現の力が忍術の元になった言われています。


 なんだか中二病の臭いがプンプンしてきましたね。それでは、飯綱権現がどのような神様なのかお話していきます。


【飯綱権現の始まり】

 飯綱山の信仰が始まったのは2世紀頃、山頂に神代七代である意富斗能地神おおとのづのかみが降臨した事がきっかけで始まったといわれています。

意富斗能地神は神代七代の一神なので、伊邪那岐神いざなぎのかみ伊邪那美神いざなみのかみのお兄ちゃんという事になりますね。


 こうして飯綱山は神の山として祭られ、山岳信仰の対象となります。そして、中世の神仏習合の時代になると、修験道の修行場となり、飯綱山の神様の正体は大日如来という事になりました。


 また、飯綱山には天狗信仰も残っており、その姿は剣を持ち、白狐の背中にまたがった姿をしています。



【妖術を司る神様!?】

 漫画が好きな人は、飯綱いずなという名前を、聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?


 そう、『地獄先○ぬ~べ~』に登場した、イタコの血を引く女の子の霊能力少女、葉月いずなちゃんです。

 彼女は管狐くだぎつねという妖怪を使って怪奇現象に挑みますが、この管狐を操る術者は漫画の世界だけでなく、長野県を中心に北陸、中部、関東、東北という広い範囲に存在していたそうです。


 管狐は妖怪の一種であり、竹筒に入る事が出来る小さな妖怪で、占いや予言、さらに相手を病気にさせるなど、呪術にも使われていました。


 そして管狐を操る術の事を『飯綱法』と言います。その始まりは、飯綱山の修行者の中心人物だった千日太夫という人物が、山頂で飯綱権現という天狗から術を授かった事だそうです。


 こうして飯綱法は山伏だけではなく、武将の間で使われるようになりました。更に忍者にも伝わって忍術の元になったと言われています。


 しかし、管狐という妖怪を使う事、相手を呪ってしまう事、また用途を誤ると自らも身を滅ぼす事など、ネガティブな側面が多いので、魔法や妖術と呼ばれました。

 また、管狐を持っている家は『くだもち』や『くだ使い』とよばれ、嫌われていたそうです。



【現在の飯綱権現】

 妖術を司る飯綱権現ですが時代の変化と共に、秋葉権現と同じく、火事防止がご利益となりました。

 

 神仏分離が行われた現代、飯綱山の山頂にある飯綱神社では山岳信仰の元となった、意富斗能地神が祭られています。また食べられる砂があるという事もあり、保食神うけもちのかみという食べ物の神様も祭られています。


 さて、飯綱神社へ行くのは登山をしないといけないので大変そうですが、山の麓に里宮という神社がるので気軽に参拝できます。


 また、忍者の里と呼ばれる滋賀県甲賀市の福量寺には飯綱権現が祭られていますが、秘仏とされているので一般公開はされていません。


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