六一 秋葉原の語源となった!? 秋葉権現

 東京の秋葉原といえば、アニメ、ゲーム、アイドルの聖地ですね。

 私も秋葉原にある、まんだらけ本店で同人誌を買い漁った記憶があります。 

 多くのオタクが訪れ、地方のオタクは聖地に思いを馳せている、そんな秋葉原ですが、その名前の由来は秋葉権現という修験道の神様から来ています。


 それでは、秋葉権現がどのような神様なのか見ていきましょう!


【防火の神様は天狗!?】

 秋葉権現は防火のご利益がある事で有名です。

オタクの聖地である秋葉原の名前の由来も、昔ここで人々が秋葉権現を信仰していたからと言われています。


 さて、『め組の大吾』の商売敵ともいえる秋葉権現はどのような神様なのでしょうか?


 信仰の始まりは、静岡県浜松市にある秋葉山あきはやまなので、本当のオタクの聖地は東京じゃなくて、静岡県なのかもしれませんw


 この秋葉山という場所は、古代から御神体として祭られている神体山でした。

自然物そのものを祭っている三輪山や、沖ノ島と同じといえますが、他の場所と違うのは、神仏習合の影響を強く受けた事です。


718年に行基ぎょうきというお坊さんが、中聖観世音菩薩しょゆかんぜおんぼさつを本尊とするお寺を建てました。


 これだけだと、ただ仏教寺院になってしまいますが、ここに三尺坊と呼ばれた修験道の山伏が関わってきます。

 この三尺坊はただ者ではなく、修験道の中でも千日修行という、最も厳しい修行を乗り越えなければ得られない、大阿闍梨おおあじゃりの称号を持った人物だったのです。


 ちなみに、この大阿闍梨という称号は、1300年で2人しか達成していないそうです。

 つまり、ゲームでプラチナトロフィーを獲得するよりも、難易度が高いと言えますw


 さて三尺坊は、これだけ厳しい修行を成しとげたので、チート並みの特殊能力が覚醒していました。

 まず、白狐に乗ってもうスピードで走り回り、空を自在に飛び、火事を防ぐ術が得意だったそうです。

 あまりにも特殊な能力を使うので、天狗と呼ばれるようになったのです。


 全国を巡り教えを説いていた三尺坊ですが、秋葉山に降り立つと、この地に留まり生涯を閉じました。

 そして三尺坊は死後、火事防止の神様として祭られるようになったのです。

 その2年後、秋葉寺しょうようじという名前がつくのですが、三尺坊への信仰と、 元々本尊だった中聖観世音菩薩への信仰が合体して生まれたのが、秋葉権現という神様なのです。

 こうして秋葉寺しょうようじはお寺だけでなく、秋葉権現を祭る秋葉神社あきはじんじゃという神社もできたので、神仏混合の宗教施設となったのです。



【秋葉権現の信仰】

 秋葉権現は徐々に信仰を広げていき、分社を全国的に増やしていきます。

 そして江戸時代になると「火事防止と言えば、秋葉権現」と言われるくらいになりました。


 さて、時代が代わり明治時代になると神仏分離令が発令され、秋葉権現も影響を受けます。

 神仏混合の宗教施設だった秋葉寺と秋葉神社は、明確に分けられてしまいます。

 また秋葉神社は主祭神が秋葉権現から、火之迦具土神ひのかぐづちのかみへと変えられます。

 火之迦具土神と言えば、伊邪那美神いざなみのかみが死ぬ原因をつくってしまった火の神様ですね。


 こうして秋葉神社は、修験道の権現ではなく、 日本古来の神様を祭るようになったのですが、秋葉権現となった三尺坊は現在でも秋葉寺にて祭られています。



【秋葉原の名前の由来】

 最後にお話するのは、オタクの聖地に何故、“秋葉原”という名前がついたのかです。

“火事と喧嘩は江戸の華”という言葉あるくらいに、江戸の町は火事が多い事で有名でした。

 喧嘩も多かったそうなので、治安は悪そうですね。


 徳川の時代が終わり、江戸の町は東京になるのですが、明治初期の頃は、まだサムライが歩いているような、以前の姿を残しており、相変わらず火事が多かったそうです。


 そこで明治政府は火事の延焼を防ぐために作られた、火徐地ひよけちという空き地に、霊的に火事を防止する鎮火社を建てるのです。

 しかし明治政府の意向とは裏腹に、人々は鎮火社で秋葉権現を信仰しました。

 こうして秋葉権現と、空き地(原っぱ)から『秋葉ノ原』という地名がつき、省略されて秋葉原となったのです。



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