五五 雨乞いの神様はワニ!? 金比羅権現

【香川県を代表する神社】

 今回お話する金比羅権現こんぴらごんげんは、次章の『修験道の神様』でお話しようか迷ったのですが、外国から来た神様なので、この章でお話します。

 ちなみに修験道っていうのは、仏教と神道が合体して生まれたハイブリット宗教ですが、本筋から外れるので話すのは後程。


 さて、金比羅神社こんぴらじんじゃは全国にあり、ご利益は海運の安全と雨乞いです。

 

 総本宮は香川県にある金比羅宮で、古くから「こんぴらさん」という愛称で親しまれています。

 琴平山ことひらやまの中腹に神社があります。

 本殿まで辿り着くには山中に設けられた、長い階段を上らないといけないのですが、多くの店が集まっているので人気観光スポットにもなっています。 


 金比羅宮がある琴平山が何故、信仰を集めたのかというと、古くは瀬戸内海を航海する際の目印となっていました。

 海で生きる昔の人々は、目印となる琴平山に航海の安全を願い、神様として祭るようになったのが、金比羅信仰の始まりだと言われています。 


 そんな金比羅宮の祭神は大物主神です。


「あれれー? 大物主神って日本古来の神様だよね? なんで外国から来た神様なの?」と思った方もいるでしょう。

 金比羅宮の神様は元々、神仏習合の影響で生まれた修験道の神様、金比羅権現を祭っていたからです。

 祭神が違うのは、例によって神仏分離令で変えられています。


 それでは、金比羅権現がどんな神様なのかお話していきます!



【海運の神様はワニ!?】

 金比羅宮の始まりは、大物主神を祭る琴平神社が始まりでしたが、その後、松尾寺という釈迦如来を本尊としたお寺が建てられます。

 金比羅という神様は、前回お話したダキニテンと同じく、お寺の守護神として祭られていたのです。


 茶枳尼天がSEC○Mなら、金比羅はALS○Kなのかもしれませんw


 そして神仏習合によって金比羅と大物主神が、人気ゲーム『女神○生シリーズ』のように、二神合体して金比羅権現という神様に進化しました。

 

 大物主神と合体した金比羅とは、どのような神様なのでしょうか?


 金比羅は元々クンビーラという名前で、インドを起源とするヒンドゥー教の神様です。

 クンビーラはガンジス川に住むワニを神格化した水の神様でした。また、ガンジス川の女神ガンガーを乗せて移動していたといいます。

 クンビーラとガンガーの関係は、ヨ○シーとマ○オに似ていますねw


 さてクンビーラが日本に入ってくるのですが、昔の日本人はワニを知りません。そして……

「この神様って、龍だよね」

 こようにクンビーラを龍神だと思いました。

 そして龍神として祭るようになり、雨乞いの神様として信仰されるようになったのです。


 特に雨の少ない地方の農民達は、金比羅権現を厚く信仰していたそうです。 

 またマ○オ……じゃなくてガンガーの乗り物だったので、船の安全の守護神としての信仰を得ます。


 江戸時代になると金比羅権現への信仰は庶民にも浸透し、「伊勢参り」と並んで「こんぴら参り」も人気になります。

 もし江戸時代にSNSが存在していたら、「♯こんぴら参り」というハッシュタグがトレンド入りしていたかもしれませんねw


 こうして人々から支持を得ていた金比羅権現ですが、例の如く神仏分離令の影響を受けます。

 神仏分離令を出した明治政府は、神道を優先していたので仏教の立場が危うくなりまそた。

 そのため、お寺が潰れる事を恐れた松尾寺は、祭神を金比羅権現から大物主神変更し、名前も松尾寺から金比羅宮に改名しました。

 お寺から神社に変わることで、廃絶から逃れたんですね。こうして、現代の金比羅宮があるのです。

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