五四 もう一神のお稲荷さん 茶枳尼天~後編~

【日本に茶枳尼天がやってきた!】

 大陸を渡り、海を渡り、ダーキニーはインドから日本にやって来るく訳ですが、伝えたのは空海だと言われています。

 空海が日本に持ち込んだ胎蔵曼荼羅たいぞうまんだらという仏教画に描かれていたダーキニーが、日本におけるダキニテン信仰の始まりだと言われています。


 曼荼羅まんだらで思い出したんですが、私が子供の頃、お母さんが「クリスマスプレゼントに何がほしい?」と聞いてきました。

 ちょうどその時、名作RPGマザー2が流行っていたので「マザー2が欲しい」と言いました。

「わかったわ。マザー2ね。サンタさんにお願いしておくね」と言ってくれたお母さん。

 そしてクリスマスの朝、私が目を覚ますと枕元に『マダラ2』というゲームが置いてありました。

 これは、完全なお母さんの誤発注ですね! ちなみにお母さんはゲームを総称してピコピコという人です。


 思い出話はこれくらいにして、本題に戻りますね。


 中世日本では仏教と神道が合体し、神仏習合という考えが広がっていきます。この神仏習合の影響が強かった昔の日本は、お寺に鳥居が作ったり、神社でお経を唱えたりしていました。


 そんな神仏習合が広がる日本では、鎮守社ちんじゅしゃと言って、お寺の敷地内に、境内の守り神を祭る神社を建ていました。

 現代風に例えると警備員の詰所みたいなものですね。元祖SEC○Mかもしれませんw


 ダキニテンは大日如来に怒られて以来、仏の守護神になったので、お寺の守り神として抜擢されました。


 ダキニテンを祭っている事で有名な所は愛知県の豊川稲荷とよかわいなり、岡山県の最上稲荷もがみいなりなどが有名です。

 しかし稲荷という名前が付いていますが、神社ではなく仏教の寺院です。


 豊川稲荷は妙厳寺みょうごんじと言って、本尊はダキニテンではなく千手観音です。

 また最上稲荷も、本当は妙教寺と言って本尊は釈迦如来です。

 どちらもお寺のガードマンとして、ダキニテンを祭っているんですね。


 しかし、日本では稲荷神の人気が高いからか、メインの千手観音や釈迦如来を差し置いて、稲荷神としてのダキニテンが前に出てきてしまっていますね。


 これを漫画で例えると、人気投票で主人公じゃなく、脇役が1位をとってしまうのと同じでしょうか。浦○幽助を差し置いて、飛○が投票一位をとった幽○白書に似ているかもしれませんね。




【鳥居が残ってる珍しいお寺】

 戦国時代になると城の守り神として武将達が、城内に稲荷神としてダキニテンを祭るようになります。お寺の鎮守社を真似をしたんですね。

 こうして、ダキニテンは信仰を広げていきますが、日本の宗教観を揺るがす大イベントがやって来ます。


 そう何度か出てきた明治政府の神仏分離令ですね。


 ダキニテンを祭っていた神社も例外ではなく、多くは祭神を日本古来の稲荷神であるウカノミタマに変えられました。


 

 明治政府は仏教と神道を明確に分けるため、お寺で神道に繋がるものを置くのは禁止しました。

 お寺にある鳥居なんて、真っ先に廃棄されてもおかしくありません。

 しかし、豊川稲荷(妙厳寺)は神仏分離令の影響が少なかったのか。現代でも鳥居が残っている珍しいお寺です。

 

 江戸時代以前の神仏習合時代の姿を残す場所なんですね。

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