五二 元々同じ神様だった!? 寿老人と福禄寿

【別に面倒臭くなった訳ではありません】

 今回は寿老人と福禄寿のお話です。


 どちらも白い髭を生やしたお爺さんの姿をしています。見た目がそっくりですが、見分け方があります。

 鹿が側にいて桃を持っているのが寿老人で、鶴が側にいて頭が長いのが福禄寿です。

 

 そしてサングラスをかけているのが亀仙人ですw


 冗談はさておき、寿老人と福禄寿はお爺さんなのでどちらも長寿を司る神様ですが、寿老人は病気治癒、福禄寿は出世をそれぞれ担っています。


 さて、「いままで七福神は一神づつ解説していたのに、どうして今回だけ一緒に解説するんですか? 東樹さん、もしかして面倒臭くなったんですか?」と、声が聞こえてきそうですが、手を抜いている訳ではありません。


 なぜ、寿老人と福禄寿を一緒にお話するのかというと、この二神は元々同じ神様だったからです。

 例えるなら衛○士郎とア○チャー、江戸○コナンと工○新一みたいなものですW


 それでは、寿老人と福禄寿がどのような神様なのか見ていきましょう。


 

【南極星が神様になった】

 寿老人と福禄寿のは、元々中国の道教の神様で、南極星という星が神格化した神様です。

 つまり北斗神拳とは相反する存在なので、寿老人と福禄寿は南斗聖拳の使い手と言えますw


 中国では南極星は生命を司る星と言われていので、長寿を司る神様になったわけですね。

 またこの星は、南の地平線すれすれに見えたり見えなかったりする、滅多にお目にかかれない星なのです。

 なのでこの星が見えたら戦争が終わり、天下統一する人物が現れるという伝説があり、とても神秘的な星といえます。

 この寿老人、福禄寿の元になった、南極星という星は竜骨座りゅうこつざという星座を形成する、カノープスという星だと言われています。



 

【寿老人と福禄寿の伝説】

 約1000年前の中国に福禄寿が現れたという伝説があるので、お話していきます!


 都で占いをしているお爺さんがいました。そのお爺さんは占いでお金を稼ぎ、お酒を買って飲んでいました。

 これだけなら、ただの酔っぱらいジジイですが、占いがよく当たると評判になり、当時の皇帝がこの老人に興味を持ちました。

 そしてお爺さんを宮殿に呼んでお酒を振る舞っていました。


 皇帝は「お爺さんは、何歳なの?」と聞きました。

 すると老人は「黄河が澄んだところを見たことがあるくらい、生きてるよ」と言いました。


 黄河とうのは中国を流れる大きな河です。この河はミルクコーヒーのように濁っていますが、千年に一度、三ツ矢サイダーのように澄むという伝説があります。


 その為、皇帝は“この老人は千年以上生きているに違いない”と思ったそうです。この皇帝は、幸せになる壺を買ってしまうタイプですねw


 さて、老人がお酒をグビグビと飲んでいたと思うと、突然宮殿から出ていっていき姿を消しました。

 すると家来から、「宮殿の上に出ていた寿星(南極星)が、突然消えた」という報告がりました。こうして、老人の正体が南極星の化身である寿老人だとわかったのです。



 また別の時代、別の場所で、占いをしていた老人がいました。その老人は身長が90㎝と小さく、頭と体の大きさが一緒だったのです。


 そして寿老人と同じく、占いで儲けたお金でお酒を買って飲んでいました。

 この老人は自らを「ワシは南極老人星といってのぉ。寿命を増やす事ができる神様じゃ」と言っていたそうです。



【寿老人と福禄寿が日本にやってきた!】

 寿老人と福禄寿は鎌倉時代に、日本へとやってきました。布袋様と同じ時期ですね。

 この頃、日本のお坊さん達は、中国から様々な仏法や文化を学んでいました。中国由来の寿老人、福禄寿、布袋様が同じ時期に日本に入ってきたのは、この為なんですね。


 さて室町時代に七福神に仲間入りするのですが、寿老人と福禄寿はあまりにもプロフィールが似ているので、最初は混同されていました。

 七福神解説の最初にも、お話しましたが、七福神から寿老人が外され、代わりにお多福、稲荷神が入れられたのは、寿老人と福禄寿は同一視されていたので、他の神様が加えられたりしたんですね。

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