四一 エロエロな神様!? 大物主神 後編

活玉依姫神いくたまよりひめ

 大物主神は自らの祭祀を行わせるのに、大田田根子おおたたねこという人物を指名しました。実はそれには訳があり、オオタタネコはオオモノヌシの子孫だったからです。

 つまり、オオタタネコは神様の血を引いているので、芸人の猫ひろしさんとは違いますw


 オオタタネコが何故、神様の子孫だったのでしょうか? その経緯を見ていきましょう!


 昔、大和の国(奈良県)に、活玉依姫神いくたまよりひめのかみという美女が住んでいました。

 ある夜、彼女の寝室にジャニーズ系のイケメンがやって来ます。


 現代だったら、たとえ相手がジャニーズ系のイケメンだったとしても、いきなり女性の寝室に入り込むのは、不法侵入で警察に通報されます。

 しかし神話の時代なのでいきなり現れたイケメンに、イクタマヨリヒメは心奪われて合体します。


 それから毎晩、イケメンはイクタマヨリヒメの所にやってきました。毎晩合体していたので、イクタマヨリヒメは妊娠します。

 勿論、娘の懐妊を両親が気付かない訳がありません。


「お前は夫もいないのに、どうして身ごもったんだ?」

 日に日にお腹が大きくなるイクタマヨリヒメに、父は聞きました。


「毎晩、名も知らぬイケメンが訪ねてきて、合体していたら子供ができました」

「なに!? 毎晩、合体をしていたというのか!? 家族に気付かれないように、娘の部屋に入れる訳がない」


 父は娘が見知らぬ男性と毎晩合体をしていた事よりも、家に男が忍び込んでいた方に驚いたようです。

 そこで父は男の素性を探るため、糸巻きに巻いた糸と、針を娘にわたします。

「針に糸を通しておき、イケメンがやって来たら、こっそり針を着物に刺しておくんだ」

 父は活玉依姫神に言いました。

 こうする事で、イケメンが通った後には糸が残るので追跡できる訳です。発信器がない時代の苦肉に策といったところでしょうかw


 イクタマヨリヒメは父の言われた通りにして、イケメンの着物にそっと針をさしました。

 そして次の日の朝、糸は家の外へと続いています。そして糸を追ってみると、オオモノヌシを祭る大神神社へと続いていました。


「娘の所に来ていたのは、神様だったのか!? 気付けないのも仕方がないよね」

 そう父は納得しました。


 そうしてイクタマヨリヒメは大物主神の子供、櫛御方命くしみなかたのみことを産み、その子孫が大田田根子になるのです。


【大物主神の神社が日本最古の神社!?】

 オオモノヌシを祭っているのは、奈良県の大神神社おおみわじんじゃです。この神社の始まりは、先にもお話した通り、オオクニヌシがオオモノヌシを祭ったのが始まりだと言われています。


 この神社は拝殿こそあるものの、御神体を保管する本殿というものがありません。


 それもそのはず、この神社の御神体というのは、三輪山みわやまという山そのものだからです。


 このように自然物を祭った信仰形式を神奈備信仰かんなびしんこうといいます。以前お話した田心姫神を祭る沖ノ島の沖ノ宮も島そのものが御神体なので、神奈備信仰を残す神社と言えます。



 元々神道というのは、自然物を祭る精霊信仰(アミニズム信仰)が始まりなので、古い信仰形式を残す大神神社が、日本最古の神社と言われている由縁でもあります。


 さて、そんな大神神社のご利益ですが、主祭神のオオモノヌシの他に、オオクニヌシとスクナヒコナ、また宗像三女神の三女、市杵島姫神など実に様々な神様を祭っているので、学業成就から交通安全、あらゆる方面へのご利益があります。


 タレントの彦摩呂さんが来たら「まるで、日本神話のテーマパークやあ!」と言ってしまいそうですねw

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