二六 イケメン好きの神様!? 神産巣日神

【オオクニヌシを助けた神様】

 神産巣日神かみむすひのかみはタカミムスビと共に現れた神様です。

 タカミムスビは政治的手腕を発揮させたり、日本神話に積極的に関わってきましたので、男性的性質があると言われています。


 対して今回の主人公であるカミムスヒは女性的だと言われています。

 しかし第二章の冒頭でもお話したように、男女の区別がない独神なので、女性的ですが女神とはいえません。


 さてタカミムスビはアマテラスとの繋がりが強い神様でしたが、カミムスヒはオオクニヌシとの関係が深いです。


 オオクニヌシと言えば、ニニギが天から降りてくるより前、地上を支配していた神様です。

 最終的に王の座まで登り詰めた神様ですが、若い頃は兄達にパシリにされたりと、あまりパッとしな神様でした。

 そんなオオクニヌシですが、カミムスヒの助力があってこそ、大出世を成し遂げたと言えます。

 

 まずは、カミムスヒの神話を見ていきましょう!



【カミムスヒとオオクニヌシ】

 オオクニヌシはある日、兄である八十神やそがみの怒りを買ってしまい、無慈悲にも殺されてしまいます(八十神というのは、数が八十いるという意味ではなく、沢山いるという意味です。)

 しかしオオクニヌシのお母さんは、カミムスヒに生き返らせてほしいとお願いします。


 お願いを聞き入れたカミムスヒは、自分の娘である支佐貝姫きさがいひめ蛤貝姫うむがいひめという女神を死んだオオクニヌシの元に送り、治療させました。

 この二神の力によって、オオクニヌシは蘇生します。

(イザナミも生き返らせればよかったのに……と思うのは私だけでしょうか?)


 さて、なんやかんやあって、オオクニヌシは力をつけて、八十神を倒し、地上の支配者となった訳です。


 オオクニヌシはふんぞり返って、玉座の上で威張っていただけじゃありません。

 その時の地上というのは、原野が広がる未開拓な場所でしたが、人々が暮らしやすいように、開発する国造りを行いました。

 しかし、国造りが難航し悩んでいた時。オオクニヌシの前に手の平サイズの小さな神様が現れます。

 調べてみると、その小さな神様はカミムスヒの息子の少名毘古那神すくなびこなのかみという事がわかりました。


 カミムスヒは「オオクニヌシとスクナヒコナが出会ったのは、何かの縁だから、二神で協力して国造りをしなさい」と言いました。

 こうして地上はオオクニヌシとスクナヒコナによって、人々が暮らしやすい土地へと発展していきます。


 このように、カミムスヒはオオクニヌシと繋がりが強い神様だとわわかりました。

 オオクニヌシと言えば、ジェームス・ポンドもびっくりするようなプレイボーイ&イケメンで有名です。

 嫁がいるにも関わらず、あちこちの女性と関係を持ち、子供を作りました。

 神話の世界なら許されますが、現代だったら大炎上しそうですねw


 性別がないとは言え、女性的性質が強いカミムスヒは、イケメンのオオクニヌシの虜になっていたのかもしれません。




【カミムスヒの神格】

 カミムスヒは女性的だったり、皇室の祖先になる神々との関係がなかったりしているので、タカミムスビとは対象的な神様です。

 しかし前回お話した天皇陛下を守護する神々を祭る八神殿の第一殿に、カミムスヒが祭られているので、とても重要な神様といえます。


 また、タカミムスビと同じく名前に『産』と『日』がはいっているので、万物の創造と太陽を司る神様といえます。

 

 カミムスヒはオオクニヌシを積極的に助けたという事もあり、元々出雲で信仰されていた神様なのでは、という説があります。

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