楽しくて、わかりやすい！ 日本の神様のお話

二五 天の最高司令官! 高御産巣日神

　前回お話した天之御中主神の後に登場したのが高御産巣日神（たかみむすびのかみ）と神産巣日神（かみむすひのかみ）です。

　登場してすぐ引きこもったアメノミナカヌシとは違い、タカミムスビとカミムスヒは日本神話にちょくちょく登場します。

　それではまず、タカミムスビの活躍を見ていきましょう。

【天の最高司令官】

　タカミムスビは知恵の神である思兼神（おもいかねのかみ）の親です。

　思兼神と言えば、アマテラスが洞窟に引き込もってしまい世界が闇に包まれた事件、『岩戸隠れ』を解決に導いたり、またアマテラスに様々な助言をした参謀とも言える神様です。

　また、天皇家の祖先であるニニギの母親になる、栲幡千々姫神（たくはたちぢひめのかみ）も生んでいます。

　このようにタカミムスビは日本神話に影響を与えた、有力な神々の親になっているんですね。

　勿論、直接関わった事もあります。

　地上はまだオオクニヌシが支配していた時、天若日子神（あめわかひこのかみ）という男神に、アマテラスは地上を奪取するように命令しました。

　地上に降りたものの、アメワカヒコは命令に背いてしまいます。

　そこでアマテラスは鳴女（なきめ）という雉（きじ）の神様を使いとして送るのですが、アメワカヒコは矢で射殺してしまいます。

　ところが、その矢は天まで飛んで行き、タカミムスビの足元に落ちました。

　アメワカヒコの矢だとすぐに気付いたタカミムスビは不審に思い「アメワカヒコが天の命令に背いているなら、この矢は当たる」と呪いを込めて、地上に投げ返したところ、アメワカヒコに命中しました。

　ゴ○ゴ１３もびっくりの射撃能力ですねw

　また、タケミカヅチのお話の時に、実はタカミムスビの名前が出ています。

　日本神話のターニングポイントとなる時には、タカミムスビが現れるので、アマテラスが最高神なら、タカミムスビは最高司令官と言われています。

【タカミムスビの神格】

　タカミムスビの名前には、字のごとく『産』という文字が入っているので、「万物の創造」を神格化した神様と言われています。

　また『日』という字が入っているので、太陽を表しているといえます。また、神話でもけっこう活躍しているので、実はアマテラスじゃなくてタカミムスビが最高神なのでは？　という説もあります。

　娘を最高神であるアマテラスの孫に嫁がせるという、やり手政治家もびっくりするような手腕で、ちゃっかり自分の地位を固めたタカミムスビです。

　ニニギにとってアマテラスはおばあちゃんで、タカミムスビはおじいちゃんになるので、神様の性質としては皇祖神になります。

「本当の皇祖神はアマテラスなのか、タカミムスビなのか、ハッキリさせようじゃないか！」みたいな論争あるようですが、私個人的にはどっちでもよくて、両方皇祖神でもいいんじゃないw　と思っています。

　という事でタカミムスビは皇室と強い関係がある神様だということが、わかりました。

　さて、東京大神宮などで祭られているタカミムスビですが、最も特殊な場所言えるのは、八神殿（はっしんでん）といえます。

　八神殿とは天皇を守護する八神を祭る神殿です。

　第一殿、神産巣日神

　第二殿、高御産巣日神

　第三殿、玉積産巣日神（たまつめむすびのかみ）

　第四殿、生産日神（いくむすびのかみ）

　第五殿、足産日神（たるむすびのかみ）

　第六殿、大宮売神（おおみやのめのかみ）

　第七殿、御食津神（みけつのかみ）

　第八殿、事代主神（ことしろぬしのかみ）

　このように多くの神様に天皇家は守られており、その第二殿にタカミムスビの名前があります。

　八神殿は一度廃れてしまいますが、江戸時代に再建されます。そして現在では皇居の中に移動しました。

　八神殿は初詣や七五三感覚で、一般人が簡単に参拝出来るような場所ではありません。

　しかし、第二殿にタカミムスビが祭られており、天皇家を守っているとても重要な神様といえます