十八、浦島太郎の元ネタ!? 山幸彦神と海幸彦神 中編

【ウミサチビコの苦難】

 三年も音信不通だったヤマサチビコが帰ってきたので、ウミサチビコは驚きました。

 そしてウミサチビコがヤマサチビコから釣り針を返してもらった時。

「ふさぎ針、せっかち針、貧乏針、愚か針」

 ヤマサチビコは背を向けて、そう言いました。


ウミサチビコ「何か言ったか?」

ヤマサチビコ「何もいってないよ( ・ω<)テヘペロ」


 不思議に思いつつも釣り針を受け取ったウミサチビコでしたが、このあと彼に不幸に見舞われます。


 ウミサチビコが平地に田んぼを作ると、何故かヤマサチビコは山に田んぼを作りました。

 すると雨雲は山にしか流れず、ウミサチビコが作った平地の田んぼは干上がり、せっかく植えた稲は全て枯れてしまいます。


 そして今度はウミサチビコは山に田んぼを作りました。反対にヤマサチビコは平地に田んぼを作りました。

 いままで山に流れていたは、今度は平地にしか流れず、前回と同じようにウミサチビコの田んぼは干上がってしまったのです。


 ヤマサチビコの田んぼは稲が実り、どんどん豊かになっていきました。一方で田んぼが干上がってしまったヤマサチビコは、弟とは反対に貧しくなっていきます。


 そしてついに、ヤマサチビコはキレてしまい、ウミサチビコを襲ったのです。


 しかし、ウミサチビコは余裕の表情をしていました。それもそのはず、彼はワタツミからもらった潮満珠しおみつたまと、潮干珠しおふるたまがあったからです。


 ヤマサチビコが潮満珠をかかげると、どこからともなく海水が溢れてきて、ウミサチビコを飲み込んだのです。

 溺れて死にそうなるウミサチビコ。

「ごめんなさい! 許してください。もう逆らいません。私は貴方の下僕になります ( ノД`)…」

 ウミサチビコが謝ると、ヤマサチビコは潮干珠を取り出しました。するとウミサチビコを飲み込んでいた海水は引いていきました。

 こうしてウミサチビコは命拾いたものの、ヤマサチビコの従者となったのです。

  

 なんだかウミサチビコがかわいそうなお話ですね(涙)



【トヨタマヒメの正体とは!?】

 こうして兄であるウミサチビコを配下にしたヤマサチビコの所に、海の宮殿からトヨタマヒメがやってきます。

 トヨタマヒメ子供を身ごもっていたのですが、天の神の御子であるヤマサチビコの子供を海で産むわけにはいかないので、出産を神のチート能力で我慢していたのです。


 急いで産屋を建てるヤマサチビコでしたが、トヨタマヒメは産気付いてしまいました。

 産屋は未完成でしたが間に合わないので、トヨタマヒメは産屋に入いろうとしたその直前。

「私は海に住む者だから、子供を産む時は本来の姿に戻らなければならないの。それを見られるのは恥ずかしいから、のぞかないでね! 絶対にのぞかないでね!! 絶ッッッ対にのぞかないでね!!!」

 こうして、トヨタマヒメはフラグを立てまくって、産屋に入りました。


 一方、ヤマサチビコは……

「嫁が産気付いた時は、産屋の側の岩影に隠れているのがベストでーす。その間、岩陰から顔を出すのはいけない事でしょーか?」 

 トヨタマヒメに“のぞかないでね!”と言われたのに、フラグを回収しようとしていました。

 

 すると産屋で子供を産んでいたのは、サメでした。

 そう、トヨタマヒメの本当の姿というのは、サメだったのです。

「ぎょっ! ぎょっ! ぎょっ!」

 トヨタマヒメの本当の姿を知ってしまったヤマサチビコは、思わずさかなクンと同じリアクションをしました。


 一方、トヨタマヒメはお産の最中でしたが、ヤマサチビコの視線に気づいてしまいます。


 こうして子供は無事に生まれ、建鵜葺草葺不合命うがやふきあえずのみことと名付けました。

 しかしトヨタマヒメが約束を破った事に怒ったトヨタマヒメは、子供を置いて海へ帰ってしまいました。

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