十一、その強さチート級!!! 建御雷神

【剣を司る最強の武神】

 建御雷神たけみかづちのかみは剣と雷を司る神様で、日本の神々のなかで、最も強い存在といえます。

 そんなタケミカヅチは火の神の血から生まれました。


 火を司る火之迦具土神ひのかぐづちのかみを生んだとき、イザナミは産道を火傷してしまい、それが原因で死んでしまったとうのは、豊受大神とようけのおおかみの時にお話しました。

 

 さて、イザナミが死んでしまった事に怒ったイザナギは、カグヅチを斬ってしまいます。

 その時、カグヅチから飛び散った血から生まれたのがタケミカヅチです。

 父親はカグヅチとなっているので、アマテラスからみるとタケミカヅチは、兄の息子なので甥になりますね。



【本当のお父さんは誰?】

 さて、父親に斬り殺された カグヅチですが、この時、タケミカヅチ以外にも実に様々な神様が生まれています。

 多すぎるので全ては語れませんが、タケミカヅチと共に生まれた神様の中に伊都之尾羽張神いつのおはばりのかみがいます。

 イツノオハバリは、カグヅチを斬った剣が変化して生まれた神様です。

 さて、日本神話においてタケミカヅチとイツノオハバリの名前が、再び登場するのは、オオクニヌシの『国譲り』の時です。


 国譲りというのは、最初の地上の支配者であるオオクニヌシから、アマテラスが地上を譲り受けたという、神話上での出来事です。

 しかし、地上の明け渡しを要求を交渉は上手くいかず、アマテラスの計画はことごとく失敗した、というのは前回のアメノオシホノミミでお話しました。


 国譲りが上手くいかないアマテラスに、知恵の神様である思兼神おもいかねのかみは、「イツノオハバリを派遣させるのはどうでしょう?」と提案します。

 しかしイツノオハバリはひねくれている所もあるし、当の本人も「私よりも、息子のタケミカヅチがいいですよ」と答えるので、地上へ派遣されるのはタケミカヅチに決まりました。


 さて、読者の方々は「あれれ、おかしいぞぉ」と、コ○ン君みたいな台詞を言った事でしょう。


 タケミカヅチとイツノオハバリは共にカグヅチの体から生まれているので、普通に考えたら兄弟ですが、途中から親子になっています。

 ちょっと設定ガバガバじゃないですか? と思った方もいるかもしれません。

 しかし、八百万の神々を理解する時に、細かいことは気にしちゃいけません。



【タケミカヅチの活躍】

 さて、次はタケミカヅチの華々しい活躍を紹介していきたいと思います。


 地上への派遣が決まったタケミカヅチは、オオクニヌシに地上を明け渡すように要求します。

 これに待ったをかけたのは、大国主神の息子の中でも、一番力が強い建御名方神タケミナカタノカミでした。

 しかしタケミカヅチはタケミナカタを倒してしまいます。


 これ以上無益や争いはしたくない、と考えたオオクニヌシはアマテラスに地上を明け渡す事にしました。

 こうしてタケミカヅチは、国譲りを達成したのです。



 次にタケミカヅチが登場するのは、国譲りからもっと時が経った、神武天皇の時代まで進みます。


 最初、九州で国を治めていた神武天皇ですが、統治しやすい国の中心である大和の国(現在の奈良県)に移動する事にしました(この時、神武天皇は神倭伊波礼彦命かむやまといわれびこのみことという名前でしたが、わかりやすくするため、神武天皇で統一します)


 こうして九州から奈良県へ向かって旅立った神武天皇ですが、大阪辺りで敵の攻撃を受けて痛手を負います。

 大阪を迂回して船で紀伊半島を南下します。

 そして和歌山県から上陸して奈良県を目指した神武天皇ですが、邪神と遭遇してしまい、やられそうになってしまいました。


 絶体絶命のピンチに陥った神武天皇でしたが、天ではアマテラスが彼を見守っていたのです。


 神武天皇が苦戦している姿に嘆いたアマテラスは高御産巣日神たかみむすびのかみと共に、タケミカヅチを呼んで加勢するように命令しました。

 しかしタケミカヅチは「私ではなく、この我が剣、布都御魂剣ふつのみたまのつるぎを地上に下ろして高倉下という男に届けさせます。そうしたら、神武天皇の攻撃力はカンストするから十分ですよ」と言って、愛剣を神武天皇の元に届けたのです。


 布都御魂剣は見事、邪神の霊力を打ち破り、神武天皇をピンチを救いました。

 そして神武天皇は布都御魂剣で次々と敵を倒し、奈良県にて初代天皇として即位する事が出来ました。

 神武天皇がこれを達成出来たのは、タケミカヅチの助力があったからと言ってもいいでしょう。

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